渡る世間は鬼ばかり第二十八話

TBS系。「橋田寿賀子ドラマ渡る世間は鬼ばかり」。作:橋田寿賀子。音楽:羽田健太郎。ナレーション:石坂浩二。プロデューサー:石井ふく子。演出:荒井光明。第八部第二十八回。
小島久子(沢田雅美)が、己の密かに進めてきた恐ろしい陰謀について、ついに兄の小島勇(角野卓造)に語った。山下光子(奥貫薫)を追放して山下健治(岸田敏志)と復縁し、国外追放中の娘の小島加奈(上戸彩)を呼び戻してケイタリング会社を横取りし継承したいと企てていたわけだが、問題なのは山下健治に貸し出した莫大な金を小島久子は本気で取り戻そうと考えているのかどうか?という点だ。もっと詳しく云えば、借金を返してもらうつもりであるのかどうか?というのも疑問だが、そもそも「投資」によって配当を得るつもりであるのかどうか?というのも疑問だ。実のところ「幸楽」の金をケイタリング会社に悉く流し、できれば「幸楽」を倒産させた上で自らは、山下光子を離縁させて追い出したあとのケイタリング会社に、影の出資者として、或いは真の経営者として、或いは経営者の新たな夫人として、云わば凱旋将軍のように堂々乗り込みたいと考えているのだろう。そうであれば「幸楽」から奪った金を「幸楽」に取り戻さなければならない道理はない。「投資」と称して盗み取り流しているだけなのだ。将来の自身の居場所のために。どうせ「幸楽」は田口愛(吉村涼)と田口誠(村田雄浩)のものにしかならない。そうであれば潰してしまった方がマシだ。実に理に適っている。だが、これは犯罪だ。