演歌の女王第六話

日本テレビ系。土曜ドラマ演歌の女王」。第六幕。
脚本:遊川和彦。音楽:池頼広。主題歌:平井堅「君の好きなとこ」(作詞&作曲:平井堅/編曲:亀田誠治デフスターレコーズ)。プロデューサー:大平太&太田雅晴(5年D組)。演出:岩本仁志
大河内ひまわり=信友幸子(天海祐希)は自ら不幸を呼び寄せているだけだ。演歌歌手として大いに飛躍するための千載一遇の機会を逃さないために大河内ひまわりが心掛けなければならなかったことは唯一、携帯電話の電源を切っておくこと。そうでなくとも少なくとも携帯電話には応答しないでおくこと。それだけのことだった。そして本来なら当然そうすべきだったのだ。なぜなら重要な仕事に取り掛かっている間と、その直前には、携帯電話に触れないで仕事に集中するのが常識ある大人の行動だからだ。大河内ひまわりがそうしなかったのは、常識を欠いていたからか、さもなくば仕事を大して重要なものとは認識していなかったか、何れかであると云わざるを得ない。そう云われても仕方がない。
とはいえ田丸ヒトシ(原田泰造)や萩本次郎(段田安則)からの電話にもし無視を決め込んでいたら、田丸道代(池内淳子)や萩本次郎がどうなっていたか知れない。萩本次郎は生きていなかった可能性が極めて高い。田丸道代の行方不明や萩本次郎の逝去はそれ自体が大河内ひまわりを悲しませるだろうが、しかもそうした不幸がそれぞれに関する電話への大河内ひまわりの無視によって生じたともなれば大河内ひまわりは生涯そのことを悔いて悲しまなければならなかったかもしれない。そのことの不幸、悲しみの大きさに比べるなら、演歌コンテスト「E1」に落選すること位、大して不幸でも悲しくもないのかもしれない。大河内ひまわりの選択は正しかったのだ。