花嫁とパパ第四話

フジテレビ系。ドラマ「花嫁とパパ」。第四話。
脚本:小川智子。音楽:佐橋俊彦。主題歌:(イメージソング)時任三郎「君の帰る場所」&(エンディングテーマ)加藤ミリヤ&COLOR「My Girl feat. COLOR」。企画:金井卓也。プロデュース:稲田秀樹共同テレビ)&三田真奈美(共同テレビ)。制作:フジテレビ&共同テレビ。演出:佐藤祐市共同テレビ)。
仕事で失敗して落ち込んでいた宇崎愛子(石原さとみ)を背後から抱き締めて「ぼくで、いいかな?」と聞いた三浦誠二(田口淳之介KAT-TUN])。この抱き締め方、この種の台詞は、一九九三年のフジテレビ月九ドラマ「あすなろ白書」で木村拓哉がそれを演じて以来、恋愛ドラマにおける最も美しく印象深い告白の様式として語られてきた。世に「あすなろ抱き」と云われる。しかし余りにも由緒ある様式だからか、近年では、「ガチバカ」第四話における増田貴久や「アンフェア」第十話における瑛太のように、恋愛ドラマではない作品や恋愛ドラマの王道からは外れた状況下で披露されることが多い。それは同時に、あの様式に新たな意味を加え、新たな生命を与えることでもあり得る。そして今宵の二人の場合、(1)宇崎愛子が三浦誠二のあの抱き締め方に、かつて自身の父である宇崎賢太郎(時任三郎)に同じように抱き締められて慰められてきた思い出を重ね合わせ、他方、(2)三浦誠二も、宇崎賢太郎が娘を愛しているのと同じ位に深く宇崎愛子を愛したいと考えていることで、「あすなろ抱き」の伝統にまた新たな意味を付け加えたのだ。
鳴海駿一(小泉孝太郎)が胸中の深みにどのような思いを抱いているのか、現時点では定かではないが、有能な槙原環(白石美帆)の手際のよい仕事に満足していないのは既に明白だ。彼が求めているのは形式的な完成度ではなく、形式を歪めかねない程の内実の充満に他ならない。そのことは先週までの劇中に、さり気なくも着実に描かれてきた。
三浦誠二について宇崎賢太郎が娘との会話の中で「ウザイ」と評したり、宇崎愛子が慌て過ぎて三浦誠二を足蹴にしたり、物流センターの神田竜太(忍成修吾)が三浦誠二をからかいに来たり、色々楽しかった。