わたしたちの教科書第四話

フジテレビ系。ドラマ「わたしたちの教科書」。第四話。
脚本:坂元裕二。音楽:岩代太郎。主題歌:BONNIE PINK「Water Me」(ワーナーミュージックジャパン)。プロデューサー:鈴木吉弘&菊地裕幸。制作:フジテレビドラマ制作センター。演出:葉山浩樹。
このドラマの主な舞台、喜里丘中学校を圧する最高権力者、副校長の雨木真澄(風吹ジュン)は恐ろしい人だ。どうしてあんなにも卑劣なのか?何のために陰謀を企てるのか?教師の自発的な行動の全てを弾圧することで教育を圧殺しようとしているのだろうか?否、多分そういうことではない。結果としてどんなに屈折していようとも、ああ見えて雨木副校長は理想の学校を作ろうとしていると云えなくもないからだ。子どもたちの親たちをはじめとする世間の言論が、どのような学校を否定しているか、そしてその裏返しとして、どのような学校を肯定しているかを考えなければならない。端的に云えば、問題の一切ない学校に他ならない。生徒間に暴力や対立があってはならないし、教師が生徒に制裁を加えてもならない。いかなる批判をも受ける余地のない存在であることを求められる。たとえ当の批判がどんなに理不尽であろうとも批判を受けること自体があってはならない。だが、問題を生じることなしには進まないのが教育であるとすれば、何者からも批判を受ける余地のない教育なんかあり得るはずがない。そうであれば学校の採り得る道は、一切の問題を徹底的に隠蔽する以外にないだろう。加地耕平(伊藤淳史)のような、問題を明るみに出しかねない不穏分子には厳しい制裁を加えざるを得ない。大衆民主主義社会における完璧な理想の学校は、雨木副校長のような教育者によってしか実現しないとさえ云えるのかもしれないのだ。