バンビーノ第五話

日本テレビ系。水曜ドラマ「バンビ〜ノ!」。第五話。
原作:せきやてつじ小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」)。脚本:岡田惠和。音楽:菅野祐悟。主題歌:嵐「We can make it!」。プロデューサー:加藤正俊&村瀬健&浅井千端(MMJ)。制作協力:MMJ。演出:大谷太郎
六本木のイタリア料理店バッカナーレの新入社員は、料理人といえども、最初はカメリエーレとして働かなければならない。この掟によって伴省吾(松本潤)はサーラで働き始めたが、料理人として働くために郷里の博多にいる恋人も何もかも全てを捨ててきた彼にとってどうにも不本意な扱いで、なかなか仕事に身が入らなかった。そこにおいて色々問題も起こしてしまう彼を宍戸鉄幹(市村正親)をはじめとする店の皆は表向きは冷ややかに、しかし内面では温かく見守っていたわけだが、そうした中で彼の弱音を叱責した二人の達人の表現の仕方と、それらに対する彼の反応の差が面白かった。サーラの達人、カーポ・カメリエーレの与那嶺司(北村一輝)は、殴って叱るのは好みではないと述べつつ、むしろサーラという自身の職場への愛を語ることで柔らかく優しくも鋭く叱責した。殴ることにおいて痛みを抱くのは殴られる側ばかりか殴る側でもあるのに、殴られることを求めるのは甘えだ!という論理も鋭かった。他方、副料理長の桑原敦(佐々木蔵之介)はもっと厳しい言葉を与えた。どんな職業であれ、生きるために働く以上は必ずや辛いこと、苦しいこともあるのだ!それなのに、まるで己一人だけ嫌な思いをしているかのように思い込んで目前の仕事を疎かにしているような奴には、バッカナーレの厨房には戻って欲しくはない!と。厳しい言だが、殴られ怒鳴られることさえ望んでいた伴省吾にとってはむしろその方が解り易くて優しかったのかもしれない。実際、彼は与那の言よりも桑原の言によって生まれ変わることができたのだ。同時に、彼にとって料理人の言こそが強い力を持ち得たのは、彼自身が料理人でありたいからでもあったろう。
主人公がクチーナからサーラへ移ったことで今宵はカメリエーレ衆が大活躍した。柴田謙一郎(麻生幸佑)も大いに目立った。意外に伴省吾大好きな「先輩」妹尾雅司(向井理)が、伴省吾から悩み相談を持ちかけられるのを待望していたのも面白かった。色々余計なことを云った挙句、終いには自ら「相談があるんじゃないのか?」と呼びかけていた。