花嫁とパパ第七話

フジテレビ系。ドラマ「花嫁とパパ」。第七話。
脚本:いずみ吉絋。音楽:佐橋俊彦。挿入歌:時任三郎「君の帰る場所」。エンディング主題歌:加藤ミリヤ&COLOR「My Girl feat. COLOR」。企画:金井卓也。プロデュース:稲田秀樹共同テレビ)&三田真奈美(共同テレビ)。制作:フジテレビ&共同テレビ。演出:佐藤祐市共同テレビ)。
三浦誠二(田口淳之介KAT-TUN])と母の三浦房江(田島令子)との、親子間の冷戦状態。それは彼が東京の大学への入学に伴い静岡の実家を出て帰省も連絡もしなくなった四年前から始まったのではなかった。幼時からの、彼と兄との間の成績、能力の差に起因する兄への嫉妬、というか静岡の由緒ある呉服店の将来の後継者として両親に期待されていた優秀な兄への嫉妬が、何時しか両親への憎しみにも近い情念とも化し、永らく彼を内面から孤独にして、ついには実家から遠ざけるにまで至ったのだった。そうであれば問題は実は本質的には彼自身の内面において生じていたわけだが、これまで彼はそのようには自覚していなかった。両親は何も聴いてはくれないとしか思っていなかった。しかし宇崎愛子(石原さとみ)はそうは思わなかった。三浦誠二は母親に確とは向き合ってはいないと見たのだ。問題の本質を見抜いていたからではない。もっと単純に、親子は真に深く語り合えるはずだと信じていたからだ。その根拠の一つは、宇崎賢太郎(時任三郎)と自身との親子関係がそうであるからだが、もう一つ、三浦誠二が宇崎賢太郎に必死に真剣に向き合い、次第に解り合えるようになったからでもあるだろう。実際、三浦誠二が登場したことで宇崎賢太郎は厳格な門限の規則をやや緩和し始めたのだ。宇崎愛子と三浦誠二の二人は、それぞれの父や母に対する思いにおいても、相互に影響作用してきていると云えるだろう。三浦誠二が宇崎愛子とともに母に真剣に向き合い、語り合ったことで、永年の冷戦状態も漸く雪解けを兆した。あのように真剣に向き合い、語りかけることが、ただそれだけが必要だったに相違ない。宇崎愛子に「お母さん」と呼びかけられた三浦房江が、三浦誠二に対する宇崎賢太郎の口癖を真似て「あなたの母親ではありません」と応じて笑んだのは、事実上は逆に、母親になるかもしれない可能性もなくはないことを、示したものに他ならない。
鳴海駿一(小泉孝太郎)と宇崎愛子のボウリングの場面。愛子の「室長もクビですね」発言はそれ自体が面白かったから鳴海室長が密かに笑ったのは予想できたところだが、あの直前の、愛子の「嫌なこと」発言が図らずも二重の意味を帯びてしまっていたのと同じく、「室長もクビ」発言も、思えば、図らずも二重の意味を帯びていたようだ。なぜなら鳴海室長は愛子とともに会社を去るつもりだったのだからだ。