わたしたちの教科書第七話

フジテレビ系。ドラマ「わたしたちの教科書」。第七話。
脚本:坂元裕二。音楽:岩代太郎。主題歌:BONNIE PINK「Water Me」(ワーナーミュージックジャパン)。プロデューサー:鈴木吉弘&菊地裕幸。制作:フジテレビドラマ制作センター。演出:河毛俊作
積木珠子(菅野美穂)によって訴えられようとしていた喜里丘中学校の副校長、雨木真澄(風吹ジュン)に対し、弁護士の瀬里直之(谷原章介)は、弁護を完全に行うためには被告側の全ての事実を把握しておく必要があることを述べ、何か秘密があれば打ち明けて欲しいと要求した。これに対し、雨木副校長はどうやら何かを明かしたらしいが、その内容は劇中に未だ明らかにされてはいない。しかし確実なことは、瀬里はその話を聴いた結果、今回の裁判における完全な勝利を確信したらしいことだ。どういうことだろうか。少なくとも現時点において云えることは、雨木副校長が恐らくは「事件」の全貌を把握していて、そしてその隠蔽をも完全に遂げたらしいことだ。勝利のための準備は既に整えられたようなものだ。校内に問題があることを知らない校内総括者は、問題の発覚によって敗れ去るのみ。だが、校内に問題があることを知悉して、しかも隠滅し得た総括者は、問題の発覚にも今さら動じることはないだろう。最強の者とは、己の弱点を知り尽くした者に他ならない。雨木副校長は教育委員会という民主主義を象徴する官庁における初等教育部門の幹部職員として、極めて優秀であると云えるだろう。民の代表者としての政治権力者の機嫌を損ねることなく、また政治権力と結託しかねない児童生徒の親たちに怒鳴り込まれることなく、しかも民を煽動する報道機関にも叩かれることなく振る舞うためには、一切の問題を明るみに出さないこと以外には道がないのだからだ。