バンビーノ第八話

日本テレビ系。水曜ドラマ「バンビ〜ノ!」。第八話。
原作:せきやてつじ小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」)。脚本:岡田惠和。音楽:菅野祐悟。主題歌:嵐「We can make it!」。プロデューサー:加藤正俊&村瀬健&浅井千端(MMJ)。制作協力:MMJ。演出:佐久間紀佳
伴省吾(松本潤)は、パスティッチェーレ織田利夫(ほっしゃん。)が腕を怪我したのに伴い、快復までの間の彼の補助員としてドルチェ部門に数日間の臨時の異動を命じられた。ドルチェ作りの基本も知らなかった伴省吾に対し、織田利夫は当初は冷たく厳しかったが、伴省吾が基本を精密に学び、このドルチェ界の「貴公子」の忠実な手足となって働き始めるや、仲間として接し始めた。他人に容易には心を開こうとはしない無口な名人に密着して、彼の技術と科学と美学を学びつつあった伴省吾が、ついには彼に受け容れられ、心までも通わせ始めた後半の展開が楽しかった。
その前半、織田利夫に受け容れられなくて落ち込んでいた伴省吾を慰めようとして仕事帰りに焼鳥屋に誘った妹尾雅司(向井理)。彼が伴を誘うとき横にいた日々野あすか(香里奈)が笑っていたのは、伴に慕われたくて仕方ないらしい妹尾のこの無謀な行動が恐らくは大失敗に終わるだろうことを予測していたのだろう。実際、妹尾には伴に語りかける程の言葉の持ち合わせなんかなかったし、辛うじて発した言は伴の心には全く響かなかった。しかし結果として伴は、妹尾から与えられた何の助けにもならない助言に対し納得ゆかないものを感じたことから、己自身を叱咤激励し、奮い立たせ、偶然の幸運によって解決の道を見出し得たのだ。その意味で妹尾も反面教師としては大いに活躍したとは云えるのかもしれない。立ち直った伴を見て誇らしげだった妹尾に対し、香取望(佐藤隆太)が敢えて真相を明かすこともなく冷静に対応していたのは、却って妹尾の空回り振りを強調して傑作だった。