ホタルノヒカリ第二話

日本テレビ系。水曜ドラマ「ホタルノヒカリ」。
原作:ひうらさとるホタルノヒカリ」(講談社)。脚本:水橋文美江。音楽:菅野祐悟。主題歌:aiko「横顔」。プロデューサー:櫨山裕子&内山雅博&三上絵里子。制作協力:オフィスクレッシェンド。演出:南雲聖一。第二話。
近付きつつある台風に備えて、まるで防災服のような雨コートを装着した完全武装の高野誠一(藤木直人)は、雨戸を閉めて家を厳重に封鎖した上、板を打ち付けて補強し始めた。もちろん同居人の雨宮蛍(綾瀬はるか)にも手伝わせて。災害に対するこの用心深さは実に模範的ではある。
難しい仕事に取り組み始めた手嶋マコト(加藤和樹)の役に立ちたくて「失敗は成功のもと」と題する参考資料を作成した雨宮蛍に対し、高野誠一部長はその発想、着眼のよさを賞し、「君と手嶋との関係も深まるかもしれない」とも付け加えた。それを聴いて大喜びの雨宮が、もう一度その言葉を味わいたくて聴き直したときの、高野部長の焦らし方が絶妙だった。雨宮の浮かれ方も愛らしかった。それに先立ち、雨宮の片想いの相手が手嶋であることを高野部長が見抜いたときの遣り取りも楽しかった。
だから当然、その翌日の職場での、雨宮が折角作成した参考資料をなかなか手嶋へ渡せないでいるのを見て焦って苛立っていた高野部長には共鳴せざるを得なかった。彼とともに視聴者もまた手に汗握らざるを得なかった。雨宮への眼差し、応援という点において高野部長は視聴者の代弁者でもあると云えるだろう。上手い組み合わせになっている。
参考資料を明日にも渡したいと携帯電話メイルを送信した雨宮に対し、手嶋は、直ぐ取りに行きたいと返信した。ここから始まった「アホ宮」こと雨宮と高野部長の騒ぎも傑作だった。一人暮らしの確り者の女性の家らしく見せかけるため大急ぎ男の気配を消しつつキレイに掃除をした高野部長と、気合を入れ過ぎて却って趣味の悪い格好になってしまった雨宮。普段のTシャツ姿の方が魅力的だったのに。この騒ぎに先立ち、冷蔵庫や食卓に境界線を設定して相互の領域の不可侵性を約束する場面でも、雨宮が高野部長の目を盗んで密かに自身の領分を少しだけ広くしようとしていたところが微妙に姑息で笑えた。偶然の成り行きで始まった正反対の男女の同居生活の描写が、よくありがちなようでいて思いのほか楽しいし、何より「干物女」アホ宮こと雨宮に対する完璧主義者の高野部長の仄かな愛情がなかなか泣かせる。
雨宮と高野部長の勤務するSWビルドコーポレーションのインテリア事業部におけるデザイナーの田所潤平(渋江譲二)は、同じくデザイナーである手嶋の苦難を見守り、時に激励していた。渋江譲二は何時も大概「よい人」だ。