受験の神様第二話

日本テレビ系。土曜ドラマ「受験の神様」。
脚本:福間正浩。音楽:池頼広。主題歌:TOKIO「本日、未熟者」[作詞&作曲:中島みゆき]。プロデューサー:西憲彦(日本テレビ)&鈴木聡(ケイファクトリー)&渡邉浩仁(日テレアックスオン)。製作協力:日テレアックスオン。演出:岩本仁志。第二話。
受験の神様と云われる中学生、菅原道子(成海璃子)について二つのことが見えてきた。一つは、この少女が、どんなに知性に秀でていて、大人たちを屈服させる力を備えていようとも、それでもなお、やはり大人ではなく少女であるということ。逆に云えば、梅沢勇(山口達也TOKIO])が、たとえ高等学校や大学でのラグビー選手としての栄光のほかに取柄がないかに見えようとも、やはり大人であるということでもある。企業組織の中で多くの部下を従える課長として大きな仕事を動かしているだけのことはあるのだ。彼は仕事での失敗を通して己の間違いに気付くや直ぐに反省したばかりか、自身の子、梅沢広(長島弘宜)の受験勉強にも同じことが成り立つことに思い至った。そしてその真理を菅原道子が既に知っていたに相違ないと解し、心からの感謝を捧げた。大人だからこその柔軟性と云えるだろう。これに対する菅原道子の側の反応は、素直さの欠片もないものだった。子どもらしい頑なさであると云えるように思う。
もう一つは、菅原道子が食に飢えているのかもしれないということ。何時も不機嫌であるのも案外そこに原因があるのかもしれないとさえ思えた。
梅沢勇は、何事も「根性」で「頑張る」体育会系の精神で仕事に臨み、部下たちを指導してきたが、実際に体育会の一員として活動していた時代には「頑張らない」精神を持ち合わせてもいた。真に大切な勝負のときに向けて体力を温存しておくべきこと、準備だけで力尽きてはならないことを彼自身が最もよく知っていた。彼からそのことを教わった後輩から、今度は彼が、改めてそのことを教わったのだ。今や「ラグビー馬鹿」の空元気で空回るだけのようにも見えかねない彼の精神が、もともとは極めて充実したものだったことを伝えている。彼は体育会系の人脈によって就職したが、その人脈は、決して形式的なものではなく、人望の篤さに支えられてもいたのだ。