道後村の散歩

朝九時半頃に外出し、道後まで散歩。湯之町商店街を通り、道後温泉本館の周辺を一周し、伊佐爾波神社の前を過ぎて宝厳寺を初めて参詣。寺の山内にあると予て聞いていた松ヶ枝町の遊郭をも初めて実見した。往時の賑わいが窺えないのは昼間だったからだけではないだろうが、殆ど廃屋というに近い数軒の外観には微かに不夜城の栄華を想像し得た。何にせよ、自分には全く縁のない場所ではあるのだが、繁華街の衰退した姿というのは色々想像力をかき立て、深く胸を打つものなのだ。一遍上人御生誕の地と伝えられる宝厳寺は流石に立派だった。寺を出て遊郭を抜けて右手に曲がれば道後温泉本館が見えた。なるほど、道後温泉駅前の放生園から神社へ上がる坂道は、宝厳寺門前の遊郭前から下り、道後温泉本館を経て湯之町商店街へ循環していたのか。知らなかった。湯之町商店街から脇道へ出て、朝十一時半頃、セキ美術館へ。館蔵品展を鑑賞。小磯良平の油彩画少女像は新収蔵品とのこと。秋の風景画を特集していたが、中で、浅井忠の水彩画は夏の京都を描いたもので、夏から秋へ移りゆく時期の、まだ夏と変わらない熱さを想起させるのが面白い趣向だった。