古代エジプト特別番組

日本テレビ系。日テレ秋のスペシャル「今夜歴史が変わる!古代エジプト三大ミステリー天才考古学者ザヒ・ハワースの新発見!」。
エジプト政府の考古庁長官ザヒ・ハワース博士が次々成し遂げた発掘・発見の数々を(1)クフ王ピラミッドにクフ王の墓はあるのか?(2)女王ハトシェプストのミイラはどれか?(3)クレオパトラの墓はどこにあるのか?の三点を中心に紹介する番組で、夜七時から十一時前まで約四時間にも及んだ長時間の特別番組だったが、なかなか楽しめた。途中、男装の王ハトシェプストが太子トトメスと対立していたとの通説を覆す段、有名なツタンカーメン王のことにも触れ、彼に関する通説も覆された。ザヒ・ハワース長官の提起する大胆な仮説の数々がどんどん実証されてゆく過程には迫力があったが、反面、それは考古庁長官という地位の力、絶大な権力に助けられたものでもあるのだろうとは思う。例えば日本の考古学者がエジプトで何かを発見しようとしても、考古庁長官の許可なくしては発掘はできないだろうし、たとえ発掘を許されたとしても、何か出てきた時点で許可は失効し、以後の作業は考古庁が引き受けるという格好にでもなるのかもしれない。ギリシアやローマやエジプトの古代遺跡は、十八世紀から二十世紀にかけて欧米列強に好き放題に掘られてはその成果を悉く盗まれてきたわけだから、今日のエジプト考古庁の強硬姿勢は云わば正当防衛なのだと云える。それにしても、ザヒ・ハワース長官の権限の絶大なのには驚かされた。クフ王ピラミッド内の厚さ6cmの壁に、調査用とはいえ自らの一存で小さな穴を開けてしまったり、日本の大して有名でもない女優のため、特別にツタンカーメン王の黄金マスクを展示用ケースから取り出して、直に間近に見せてやったり。これを日本で例えるなら、天皇陵を宮内庁長官の権限で開封するようなものだろうが、多分、日本では長官程度にそこまでの権限はないに相違ない。
この番組に関して最も気になったのは出演者の人選の説得力のなさ。えなりかずき&菊川玲&ボビーオロゴン&RIKACOという人選は一体どのような意図によるものだろうか。中山エミリクフ王ピラミッドの地下深くまで果敢に潜り込んでいて、意外に場に馴染んでいた。