新番組=ドリームアゲイン

今宵からの新番組。
日本テレビ系。土曜ドラマドリーム☆アゲイン」。
脚本:渡邉睦月。音楽:水谷広実。主題歌:コブクロ「蒼く優しく」。協力:読売ジャイアンツ広島東洋カープ。プロデュース:次屋尚。制作協力:アベクカンパニー。演出:中島悟(AVEC)。第一話。
落雷によって落命した野球選手=小木駿介(反町隆史)の生まれ変わりの、ハゲタカ投資ファンド会社の経営者=朝日奈孝也(反町隆史)。彼の家で働いている家政婦は、どこかで見たことのあるような顔の人。誰だったろうか…と思っていたら、なるほど瀬川瑛子だったのか。云わば、瀬川瑛子みたいな女優がいるなあ…と思っていたら本当に瀬川瑛子だったようなもの。芝居の巧拙については知らないが、よかったと思う。小木駿介の精神を宿した朝日奈孝也が、体力作りのため食事には牛肉ではなく鶏肉を出して欲しいと注文したときの、家政婦=中田加代(瀬川瑛子)の残念がっていたような口調は特に面白かった。多分、中田加代は「旦那様」朝日奈が毎晩のように食う最上のワインと極上霜降肉のステーキのオコボレに与るのを楽しみにしていたのだろう。そういう感じがよく出ていて、その意味では瀬川瑛子は案外なかなかの女優ではないかと思えた。このドラマ一番の収穫であるかもしれない。落雷で落命した小木駿介を天国へ案内すべく迎えにきた天国庁の官吏、田中(児玉清)は「パネルクイズ・アタック25」の司会者の如し。楽しそうだった。
天国庁の官吏の田中の云うように、小木駿介の生まれ変わりである朝日奈孝也は、小木の精神を朝日奈の身体に宿しただけの状態に過ぎない。小木にとっては小木が朝日奈の生活を始めたようなものだが、周囲の人々から見れば朝日奈らしからぬ様子の朝日奈でしかない。吾々視聴者は小木の視点に立って物語を見ているが、その物語に登場する人々は、天国庁の田中を別にすれば誰一人として小木の姿なんか見てはいない。小木が、これまで見たこともなかったようなハゲタカ投資ファンド会社という奇妙な世界で混乱する姿や、思うように動いてはくれない中年の体力に悪戦苦闘する姿というのは、それを反町隆史の容姿で見ている視聴者にとっては云わば愛嬌のある万年青年の趣だが、劇中の人々から見れば単に、急に人柄や働き方を変えた社長、己の体力も弁えず無理をしている中年でしかないはずなのだ。このドラマを見るに際してはそうした設定を常に踏まえておくことが、面白さと幾分かの悲哀を生じる上に必要だと思う。