有閑倶楽部第四話

日本テレビ系。火曜ドラマ「有閑倶楽部」。
原作:一条ゆかり。脚本:山浦雅夫。主題歌:KAT-TUN「Keep the faith」。演出:池田健司。第四話。
大富豪の老女、桜川きぬ(吉行和子)は、美童グランマニエ田口淳之介)を余りにも深く愛し欲する余り、自宅バルコニーの破損による転落で逝去したのち怨霊となって現れて彼をも黄泉の世界へ連れて行こうとした。余りにも強烈な愛欲がその相手を殺すところにまで向かうのは紀州道成寺安珍清姫の伝説で馴染み深いが、桜川きぬの場合、愛の強さはどのように描かれていたろうか。一つには、美童への高価な贈物の数々に表されていたと云える。桜川きぬは大富豪ではあるが、大変な吝嗇家として有名でもあり、ゆえに高価な品物を毎日のように贈るということ自体がそのまま愛欲の強さを物語っていると解せる。また、婚約もしていないばかりか交際について合意も形成されていないにもかかわらず結婚指輪を交わそうとしたところ、それどころか、婚約の事実がなく未だ何の血縁もないにもかかわらず血縁ある者たち皆を差し置いて敢えて彼一人に全財産を贈るべく遺言を書いていたところにも愛欲の凄まじさが描かれているだろう。だが、できることならそれをもっと印象的な絵で象徴しておいて欲しかったとも思わざるを得ない。