働きマン第五話

日本テレビ系。水曜ドラマ「働きマン」。
原作:安野モヨコ。脚本:吉田智子。主題歌:UVERworld浮世CROSSING」&働木満(沢村一樹)「働きマン音頭」。演出:南雲聖一。第五話。
明治四十二年創業の由緒ある大手出版社、豪胆社の刊行する週刊誌「週刊JIDAI」の編集部で芸能人ゴシップ記事を数多く手がけてきたカメラマン菅原文哉(津田寛治)はどうしてあんなにも無愛想で不機嫌であるのか。その疑問は今宵の話で解かれた。週刊誌の編集部においては「誰かがやらなければならない仕事」としての芸能人スキャンダルの取材を、実際には誰一人やりたがらない中で、敢えて本心に反して引き受け続けてきたのだからだ。彼も本当はできることならもっと志の高い政治問題や社会問題等を取り上げたいし、また実際にも過去にはそうした記事を少なからず手がけてきたようだが、そうした仕事は滅多にできるものでもないし、何よりも編集の方針として芸能人スキャンダルの取材が必要であるにもかかわらず徹夜の張り込みを要する過酷な(それでいて成功しても誰からも尊敬されない)仕事を引き受ける者が直ぐにはいない中では彼が引き受けざるを得ない状況があったのだ。しかも、その状況を認識できていたのはデスク=成田君男(沢村一樹)や編集長=梅宮龍彦(伊武雅刀)のみ。他の編集部員たちは皆、嫌な仕事を彼一人に押し付けて自らは逃れているという不条理な状況に無自覚だった。何時も楽しそうな編集部内の雰囲気は、彼一人を犠牲にすることで成立していたと云うも過言ではない。これでは彼が不機嫌になるのも仕方がない。
誰かがやらなければならないのに誰もやりたがらない仕事というのは実際あるものだ。組織というものは、そうした仕事を引き受ける者にこそ大いに報いて欲しいと心より思う。ともかくも、組織というものにありがちなそうした面を描いた点を含めて、今宵の話は実に面白かった。