歌姫第五話

TBS系。金曜ドラマ「歌姫」
脚本:サタケミキオ。主題歌:TOKIO青春(SEISYuN)」。制作:TBSテレビ。演出:坪井敏雄。第五話。
今宵の話は一話まるごと殆ど、四万十太郎(長瀬智也)が幼馴染みの岸田鈴(相武紗季)二十歳の誕生日のため真珠のネックレスを贈るの話。戦地から引き揚げたものの記憶を喪失し土佐清水へ流れ着いて、街の映画館オリオン座を経営する岸田勝男(高田純次)と浜子(風吹ジュン)に拾われて映写技師として住み込みで働き始めていた彼が、同家の娘である鈴が幼かった頃、海で二人で真珠の珠を見付けて、何時の日か真珠のネックレスを贈ることを約束していた話も描きつつ、基本的には、誕生日の贈物を当の相手に知られないように入手し、また盛大な誕生会を当人に知られないように準備するため奮闘するという余りにも古典的な企ての話を、それこそ、なるべく視聴者にも知られないよう展開するという形を取っていた。しかし、もっと面白かったのはその後日談。太郎が土佐の中村へ鈴を伴い、買物に出かけ、先ずは一人で映写用フィルムの調達へ向かい、その間、鈴には街中の高級な喫茶店「歌姫」(!)で待たせていたとき、同店へ現れたのが及川美和子(小池栄子)。及川美和子は秋田の女だが、中村の侠客=山之内の親分(古谷一行)の姪で、山之内一家に属するクロワッサンの松(佐藤隆太)を護衛に従えていた。この女が松を叱りつけながら叫んでいたところによると、山之内一家の配下の者はケバイ商売女を通じてバッタモンの真珠を、安い真珠と称して売り捌き流通させていたのだ。というわけで二十歳の記念の大切な真珠が一気に安くなり、余韻をかき消されてしまったところが逆によかった。