ドリームアゲイン第五話

日本テレビ系。土曜ドラマドリーム☆アゲイン」。
脚本:渡邉睦月。主題歌:コブクロ「蒼く優しく」。協力:読売巨人軍。制作協力:アベクカンパニー。演出:長沼誠。第五話。
野球選手=小木駿介(反町隆史)の生まれ変わりとしての朝日奈孝也には、今、三つの物語が進展しようとしている。一つは、小木の恋人だった二ノ宮颯乙(加藤あい)との間の、対立を超え、身体の非同一性を超えて取り戻そうとしている愛の話。一つは、読売巨人軍コーチの前田健造(渡辺哲)との間で再確認しつつある野球への情熱の話、云わば永遠の野球少年の話。一つは、朝日奈ファンドの経営方針に関して幹部社員の熊田恒人(三宅弘城)等との確執の中で問われつつある「会社とは何か?」という問題をめぐる話。当初には朝日奈孝也の娘を自称する(そして実際にも実の娘であると証明された)藤本雛(志田未来)との間の話が支配的だった感があるが、それが一応の解決を見た今、全体として物語が進展してきた中ではその親子の話は後退し、代わって恋人の話と野球の話と会社の話が明確化し強調されてきたと見える。興味深いのは、恋人の話と野球の話が進展すれば進展する程に物語世界に平安をもたらしているのとは反対に、会社の話は進展するに連れて次第に、ダメ社長の奮闘の喜劇から正義と利益追求との対立の悲劇へ深化してきたところだ。ここには、三つに分裂してきた小木駿介の物語=小木駿介の生活が、やがては親子の話も含めて一つに合流してもっと大きな混乱と解決を見るだろうことの気配がある。その予感は安心感を伴った危機感を抱かせ、期待感を抱かせる。要するに、意外に面白いドラマだと思う。
それにしても、前田健造が朝日奈孝也に対しコーチ料と称して三千万円もの莫大な金銭を要求していた理由は何だろうか。今のところ明らかにはなっていないように思うが、今宵の話を見て想像されたのは、予て関与してきた少年野球チームの指導を強化して、云わば第二の小木駿介ともなるべき有望の人材を見出し育成するため、大いに盛り上げてゆく上での、何らかの資金を必要としているのではないか?ということか。