ドリームアゲイン第七話

日本テレビ系。土曜ドラマドリーム☆アゲイン」。
脚本:渡邉睦月。主題歌:コブクロ「蒼く優しく」。協力:読売巨人軍。制作協力:アベクカンパニー。演出:石尾純。第七話。
前田健造(渡辺哲)は、野球選手を目指して練習に励んでいる朝日奈孝也(反町隆史)に、野球選手として復帰しようと努力する小木駿介(反町隆史)を認識している。読売巨人軍コーチとして数多くの野球選手と接し、中でも小木駿介とは永く親しく接してきた彼が、朝日奈の動きの一つ一つに小木との同一性を見抜くのは必然のことだ。それは丁度、小木駿介の恋人だった二ノ宮颯乙(加藤あい)が、朝日奈孝也と親しく接し、語り合い、手を握られ、抱き締められる度に小木駿介との同一性を確信せざるを得なくなったのと同じだ。常識ではとても受け容れ難いはずのこの確信を両名が抱き得たのは、それぞれが小木駿介の思考や言動や身体の癖、体温を知り尽くしていたからであると同時に、両名がそれぞれ感じていた奇妙な同一性を互いに明かし、語り合い、共有し得たからでもあったろう。気の所為ではないと知り得たのだ。二ノ宮颯乙との会話の中で前田健造は時折、朝日奈のことを語っているのか小木駿介のことを語っているのか、混乱してしまっていたときがある。本人は恐らく朝日奈のことを語っていたが、そこにおいては同時に小木の思い出も語られていたし、何よりも彼は朝日奈の名を小木と呼んでしまっていた。彼はそのことに気付いていなかった。そのことが、ただでさえ動揺していた二ノ宮颯乙をさらに動揺させてしまったような面もある。野球の練習のとき前田健造が朝日奈の見事な成果に興奮して思わず「小木!」と声をかけてしまったとき、健造は次の瞬間そのことに気付いたが、朝日奈は、充実した練習による興奮と疲労のためか、全く気付かず普通に「はい!」と返事をした。健造は驚いていた。あの瞬間、朝日奈は己が実は小木駿介であることを宣言したようなものではないだろうか。