雪の京都へ日帰りの旅行

今朝、松山では雨が降っていたが、九時頃にJR松山駅を発し岡山を経由して京都へ旅行。京都国立近代美術館で開催中の玉村方久斗展を観に行った。昼頃に着いた京都では雪が降っていて、その風情は流石に美しかった。玉村方久斗展は、見て強烈に感動できる内容であるかどうかは兎も角、今後このような規模で開催されることは二度とないかもしれないという点で見逃せない。この画家については、予て大正期新興美術運動を代表する前衛的な日本画家としか認識していなかったが、展覧会を見て感じたのは、基本的にこの人が熱心な日本画マニアだったらしいということ。古代から近代までの様々な絵画をよく学んでいて、と云うよりは盛んに模倣している。それを今日の語では「パクリ」と云うだろう。小柴垣草子のような古代の春画の絵巻からのパクリもあれば、前田青邨小林古径のような近代日本画家のパクリもある。しかし、この画家には、誰にも似ていないと思える強烈に個性的な筆致があって、ゆえにパクリではなくなっているとも云える。その辺を見てゆくと実に面白いのだ。
さて、館を出たあと少々悩んだ。できれば今宵は京都市内に一泊して、明日には京都文化博物館京都国立博物館にも行きたかったのだが、生憎どこのホテルも空室がなく、大阪でも難しそうだったので諦めて、平安神宮の鳥居からバスに乗り、四条通で降り、四条烏丸から地下鉄でJR京都駅へ。雪の影響で新幹線の発着時刻に遅れが生じているとのことで、窓口で乗車券等を購入する際、なるべく早く京都駅を発つよう勧められた。具体的には、岡山駅で乗り換える際に一時間の待ち時間を要することになるような時刻に京都を発つべきだと云われ、仕方なく云われた通りにした。実際、京都駅を出発したのは十五分の遅れ。岡山駅には二十三分遅れで着いたが、驚いたことにその二十分後に発つはずの松山行き特急には三十分もの遅れが生じていた。一時間も待たされた。それで特急列車に乗ったところ、岡山へ遅れて到着する新幹線を待つため三十分間遅れての出発になると云われた。合計一時間半も遅れたのだ。本当に非道い。こうなることが判っていたら、京都駅周辺で夕食を摂ることもできたのに。というか、ここまで待たされる位なら、岡山駅近くのホテルに一泊して、明日には倉敷にでも観光に行ってもよかったのに。本当に非道い。ともあれ乗ってしまったので仕方ない。結局、帰宅し得たのは深夜一時半頃のことだった。往路と復路の長時間で二冊の書を読み得た。往路には黒田日出男『謎解き洛中洛外図』、復路には島田裕巳『日本の10大新宗教』。何れも実に面白かった。

謎解き洛中洛外図 (岩波新書)
日本の10大新宗教 (幻冬舎新書)