仮面ライダーキバ第三話

テレビ朝日系。「仮面ライダーキバ」。井上敏樹脚本。石田秀範演出。第三回「英雄-パーフェクトハンター」。
今朝の第三話からは第三の男、名護啓介(加藤慶祐PureBOYS])が登場した。寸分の隙もない格好よさ。熱血漢ではなく、あくまでも優秀な仕事人としての。この格好よさは今後も最後まで貫かれるのか、それとも予想外の方向へ喜劇的に旋回してみせるのか。最後まで格好よさを維持し続ける場合も、主人公に敵対するのか、それとも悲劇の英雄として終わるのか等、色々な選択肢があることだろう。
バウンティハンターと称されている彼は、そう呼ばれるよりはむしろ「正義の味方」と呼ばれるのを望んだ。予てバウンティハンターに退治される日の来るかもしれないことを密かに恐れていたと思しい悪徳金融会社「タイタン金融」の外国人社長は、非合法の取引について話を付けていた現場に出現した彼を、まさしくバウンティハンターその人であると認識して驚き、慌て、彼を返り討ちにしようとした部下(関西人)を全て倒されて辛うじて一人だけ逃亡したものの追い付かれ、なぜか携えてきていた竹刀で何とか応戦しようとしたが、その武器を彼に奪われ、打たれ、倒され、「生まれ変わりなさい」と反省を促され、そこへ駆け付けた警察によって逮捕されてしまった。名護啓介が竹刀で社長を打つときの動作が、まるで剣道における「面」そのものだったのが面白かった。
悪者を退治した彼は、彼を見てバウンティーハンターその人であると気付いた警察に対し、この悪者に懸けられていた懸賞金を「何時ものところに」全て恵まれない子どものため寄付したい旨を告げて、去った。
その様子を目撃した紅渡(瀬戸康史D-BOYS])は、去ろうとする名護啓介に話しかけようとして近付いたが、なぜか「父さん…」と呼びかけてしまい、相手にしてもらえなかった。実の父である紅音也(武田航平PureBOYS])について母からは「素晴らしい人」「心清く、誠実で、真面目で、曲がったことが大嫌いな、純粋な人」と聞かされ、そう思い込んでいた渡は、二十二年前「バブル景気」の時代の音也の豪快な悪行の数々を当時の関係者から次々に初めて聞かされ、思い知らされて落ち込んでいたところだったので、眼前の名護啓介の格好よさに、これまで勝手に思い描いていた理想の父の姿を思わず投影してしまったのだろう。まるで「仮面ライダー響鬼」においてヒビキの勇姿を初めて見たときの桐矢京介(中村優一[D-BOYS])のようだ。
しかし紅音也の豪快な悪事の数々は、本当は悪事でもないだろう。時効とか何とか云う以前に、そもそも犯罪でさえないだろうが、確かに「道義的」には憎まれるだろうし、「心清く、誠実で、真面目で、曲がったことが大嫌いな、純粋な人」を胸中に思い描いていた渡の理想像からは余りにも遠かったのだろう。何時でも陽気で自信満々だった音也と、音也の真実を知って自信を喪失して謝罪の行脚をしながら耐えられなくなっていた渡との差が面白かった。