エジソンの母第七話

TBS系。金曜ドラマエジソンの母」。
原案:山口雅俊。脚本:大森美香。音楽:遠藤浩二。製作:ドリマックス・テレビジョン&TBS。第七話。演出:平野俊一
花房賢人(清水優哉)原案による新作の芝居「赤頭巾」は、彼の得意の論理学的なパラドクスを取り入れて観衆を煙に巻いた。子どもたちの無邪気な芝居を期待して集まっていた客席の親たちや教師たちが、童話とは似ても似つかない奇妙な論理の遊戯に付いて行けなかったのか、暫し呆然としていたのが面白かった。
この芝居を途中で抜け出した彼は、パラドクスの論理の循環の永遠性から永久に運動する機関へ思いを馳せ、閃いて、永遠に鳴り続ける防犯ベルを考案し、完成させた。それを引き取ることになった鮎川規子(伊東美咲)は、その大きくて重い装置を自転車の荷台に載せて歩きながら、「この世に永遠なんてないのに…」と呟いていた。ところが、そこへ現れた痴漢。怯えた鮎川規子は自転車を倒してしまい、荷台から落ちた防犯ベルは循環運動を開始、繰り返し繰り返し単調にも鬱陶しく鳴り響き始めた。そのとき鮎川先生は「防犯ベルですよ、永遠に鳴り続けますよ」と説明して痴漢を脅迫し、ついには撃退に成功した。「永遠」なんて信じてもいないのに咄嗟に「永遠」と云ってしまったのも面白いが、「永遠」が脅迫になってしまったこと自体も傑作だ。しかし確かに永遠の音響というのは鬱陶しいかもしれない。
それに先立つ防犯ベル作成の場面。舞台から唐突に走り去った花房賢人を、学級の副担任の久保裕樹(細田よしひこ)は追いかけたが、結局、教室へ戻って防犯ベルの発明に取り掛かった花房賢人を体育館へ連れ戻すどころか、一緒になってその発明の作業を手伝い、見守ってしまっていた。