仮面ライダーキバ第五話&第六話

テレビ朝日系。「仮面ライダーキバ」。井上敏樹脚本。舞原賢三演出。第五回「二重奏-ストーカーパニック」&第六回「リプレイ-人間はみんな音楽」。
先週は出張により見ることを得なかったので今週まとめて見た。
二十二年前、麻生ゆり(高橋優)を我が物にしようとした蜘蛛ファンガイア糸矢僚(創斗)はその二十二年後の今、麻生ゆりの娘、麻生恵(柳沢なな)を我が物にしようとした。凄い執念だが、行動の型が殆ど変わらないのも凄い。言葉遣いの一部に違いがあるほか、配下に韓国風の扮装をした羊ファンガイア倉前昇(篠田光亮)を従えているのが歳月を物語る程度。
麻生ゆりを救出しようとしたのは無論、紅音也(武田航平PureBOYS])。しかし音楽家としての不思議な力こそ持ってはいるが、それ以外に特別な腕力、武力を持つわけでもない。敵がどこにいるのかも判らない。それを手助けしたのは珈琲マニアの蒼い狼男、次狼(松田賢二)。敵の居場所を異様な嗅覚で探り当て、そして音也が敵に倒されたあとには代わって追跡した。しかし元来が「狼男」でもあるし、必ずしも単なる味方ではなさそうに見える。そんな彼が二十二年後には仮面ライダーキバ=紅渡(瀬戸康史D-BOYS])の仲間として龍の城の中に居住しているわけだから、なるほど名護啓介(加藤慶祐PureBOYS])の云う通りキバには危険性があるのかもしれない。
そして二十二年後の今、麻生恵を救出しようとしたのは無論、紅渡。でも直ぐに捕まってしまったのは音也と同じ。対照的なようでいて案外よく似ている。そこで麻生恵の考え付いた逃走のための手段は、麻生ゆりの考え付いた手段と全く同じだった。道具も同じ。二十二年前に麻生ゆりがそこに置いたままにしてしていた羽根型の装飾品を見出し、紅渡を相棒にして、縄を切るための刃物として使用した。かつて母ゆりが音也を相棒にして実行したのと全く同じように。母も同じようにして逃げたに相違ないことを感じながら。
二十二年もの歳月を経て親子二代にわたり同じ行動が繰り返され、しかも子の代がそれを認識し得ているというのは、なかなかドラマティクな話だ。
仮面ライダーキバの戦闘には今回、龍の城の中の美少年、バッシャー(小越勇輝)が参戦。ガルル=次狼が再登板して二十二年前に解決できなかった騒動の処理をするのかと思ったが、そうはならなかった。
名護啓介は、麻生恵から放たれる「嫌い」の語を嫉妬から来る嘘と見做し、本当は己のことを尊敬しているに相違ないと勝手に思い込んでいる。第四話で既にそれが明らかになっていたが、第五話ではさらに増長。紅渡から「名護さん、最高だからです」と云われたことで、内心は大喜びだったろうが、表面上は微笑のみに止め、何時もの冷静な口調で、「聞こえないなあ。もっと大きな声で云いなさい」と命令し、大声で云い直させた。変態的と云える。