橋田寿賀子ドラマ渡る世間は鬼ばかり第六話

TBS系。橋田寿賀子ドラマ「橋田寿賀子ドラマ渡る世間は鬼ばかり」。
作(脚本):橋田寿賀子。音楽:羽田健太郎。ナレーション:石坂浩二。演出:清弘誠。プロデューサー:石井ふく子。第九部第六回。
何だか異様に盛り上がった今宵の一話。制作者間に何かあったのか?と思えば、演出を手がけたのが清弘誠か。二〇〇三年の、西田敏行松坂慶子の四国旅行を描いた「離婚旅行」や、二〇〇六年の、玉山鉄二阿部サダヲの恋愛を描いた「誰よりもママを愛す」の人か。普段「橋田寿賀子ドラマ」なんか撮らないような人が手がけるだけで、随分と違ってくるものだ。
だが、演出の違いだけの問題ではないのも確かだ。普段なかなか見ることのできない場面の連続があったからだ。
先ずは、小島家ラーメン店「幸楽」従業員の一人、田島周平(岡本信人)が、同じく従業員である田島聖子(中島唱子)という巨体の妻のある身でありながら、店主である小島勇(角野卓造)の妹の小島久子(沢田雅美)を熱烈に口説く!(と誤解させる)場面あり、次いで小島久子が田島周平の「好意」に(完全に誤解して)甘えかかってみせるという「御色気」の場面あり、そうして酒を呑み過ぎて何時になく酔った小島久子を田島周平が小島家まで連れ帰ったところで、そこに同居する田島聖子が嫉妬の怒りに燃えて夫の田島周平に掴みかかり、この誤解に怒った田島周平は田島聖子を、柔道の如く、投げ飛ばしたのだ。
挙句、田島周平が、店主夫妻を前に、小島久子に優しくした理由について小島家の安泰を願うからであること、とりわけ「御家」の安泰の核として、女将の小島五月(泉ピン子)の平安を願うからこそであることを述べるや、田島聖子は夫と女将との仲までも疑い、小島五月に嫉妬し始める始末だった。