太陽と海の教室第五話

フジテレビ系。月九ドラマ「太陽と海の教室」。
脚本:坂元裕二。音楽:服部隆之。主題歌:UZ(織田裕二)「君の瞳に恋してる」。プロデュース:村瀬健。制作:フジテレビドラマ制作センター。演出:若松節朗。第五話。
夏の湘南を舞台にした青春学園ドラマ!…だったはずが、今や学園ドラマにも青春ドラマにも見えにくくなってしまったのは、教師の櫻井朔太郎(織田裕二)が余りにも一部の生徒のみを贔屓し過ぎるからだろう。根岸洋貴(岡田将生)と白崎凜久(北乃きい)を中心とする仲良しの七八人しか櫻井の視野に入っていないかのようだ。かの日本テレビ土曜ドラマ「ごくせん」に関して「主要五六人以外の生徒は背景の如し」と批判する人々は多いが、この「太陽と海の教室」に比べるなら、まだ「ごくせん」の方が、大勢の生徒たちを上手く活用して場を賑わし盛り上げる術をよく心得ていた。湘南学館3年1組の生徒たちは、主要な七八人以外は完全に背景でしかない。だが、この欠点をさらに増長しているのは、(第二話についての感想文で既に指摘した通り)肝心の主要な生徒七八人の集団が一体どのようなわけで成立した集団なのか全く解せないことなのだ。番組の公式サイトによれば、例えば、楠木大和(冨浦智嗣)は「頭がいいことを鼻にかけ、勉強できない生徒を馬鹿にするようなちょっと意地悪な面もある」と説明されているが、そんな彼が、水泳の力と容姿の美のほかに取柄もなく「勉強できない」根岸洋貴と仲良くできるのはどのような事情によるのか?解らない。
また、もともと彼等の仲良し組の一員ではなかったはずの川辺英二(山本裕典)が何時の間にか(第四話以降)仲間入りを果たしていたのは、第三話の、彼の家庭の問題をめぐる騒動に根岸洋貴と白崎凜久と田幡八朗(濱田岳)と屋嶋灯里(吉高由里子)と日垣茂市(鍵本輝[Lead])の五人組が大いに関与したからだろう。それは理解できなくはない。だが、それでは、第四話において彼等の人間関係にも小さくない影響を与えたはずの三崎雅行(中村優一[D-BOYS])が仲間に加わらなかったのはどういう事情によるのか。もちろん三崎雅行があの集団に唐突に加わるのは余りにも説得力を欠くので、彼が再び背景と化したのも一応は肯けるが、それでは「一匹狼」の川辺英二はどうなのか?…等と考えるに、結局のところ、以上の全てはドラマ制作者側の事情(俗に云う「大人の事情」)によるとしか云いようがなかろう。無論どのようなドラマにも同じような事情はあるに決まっているが、それが余りも露骨に表れてしまうのは(例えば今年の「ごくせん」における高木雄也の準主役級への無理矢理な起用のように)、そうした事情に理解を示したいとも思わない多くの視聴者を置き去りにすることにしかならないだろう。