スクラップ・ティーチャー第二話

日本テレビ系。土曜ドラマ「スクラップ・ティーチャー 教師再生」。
脚本:水橋文美江及川拓郎。音楽:吉川慶&Audio Highs。主題歌:Hey!Say!JUMP「真夜中のシャドーボーイ」。プロデューサー:櫨山裕子&内山雅博。制作協力:オフィスクレッシェンド。演出:南雲聖一。第二話。
杉虎之助(上地雄輔)と久坂秀三郎(中島裕翔)の二人が励まし合う場面は、やはり見ていて楽しい。二人の年の差は、親子…とは云わないまでもそれに近い位はあるし、何よりも両名は教師と生徒という対等ではない関係にあるわけだが、生徒が頼りなさそうな外見に反してその芯は勇敢で行動力に富んだ確り者であるのに対して教師が今一つ頼りない所為もあってか、互いを励まし合う姿は友人同士のようでさえある。それどころか、久坂秀三郎が杉先生をどこまでも信じようとする姿には、男同士の真の友愛を見ないわけにはゆかない。現今テレヴィドラマ時評では「相棒」とか「バディ(buddy)」とかの語をよく耳にする気がするが、杉虎之助先生と久坂秀三郎の関係を解するにもそれらの語を使用するのが有益であるかもしれない。
変な教師たちと変な生徒たちに振り回されて混乱しつつも意外なところで事件解決の鍵を握ってしまうのが非常勤講師の滝ゆう子(加藤あい)。滝先生と吉田栄太郎(知念侑李)との関係も面白かった。先週の話において謎の転校生三人組の奇妙な力(腕力や財力)を目撃して知ってしまった滝先生は、意地悪な教諭、豪徳寺秋美(南野陽子)への報復に彼等の力を借りようと思い立ち、三人組の内の一人、吉田栄太郎に接近。彼は放課後には何時も、校内の菜園で農作業に勤しんでいて、そのときも校舎の屋上で肥料を乾燥させる作業をしていた。どう見ても彼は「セレブ」の「スーパー中学生」よりも農作業が似合う男子だ。そんな彼に滝先生は色仕掛けで接近したが、逃げられてしまった。謎の三人組の何時もの流儀であれば滝先生の非常識な行動を馬鹿にして嘲るところだろうが、そんな余裕もなく、色仕掛け自体に恐れをなして逃げてしまったところにこそ、吉田栄太郎という農作業の似合う男子の本来の性格を認識しないわけにはゆかない。
今回、最も面白かったのは、久坂秀三郎が同級生の大崎沙莉(伊藤沙莉)を助けるため不良集団相手に勇敢にも立ち向かった挙句、町外れの倉庫へ連れて行かれつつあった中、その様子を(またしても)偶々目撃してしまった滝ゆう子先生が杉虎之助先生に電話で知らせたときの「やっぱ倉庫なんだよ、こういうのって、やっぱ倉庫なんだよ」という台詞。「ごくせん」をはじめとする日本テレビ土曜ドラマでは乱闘の舞台に倉庫を使うことが多い。だから現場に駆け付けた杉虎之助先生も不良連中を一瞬でも脅かしてその隙に久坂と大崎を連れて逃げようとして、「あ!ヤンクミ!」と叫んだのだが、そもそも上地雄輔も、六年前は「ごくせん」ヤンクミこと山口久美子(仲間由紀恵)率いる白金学院3年D組の生徒だったのだ。
大崎沙莉が万引を働いたことで今回の話が始まった。実は二度目の万引。対象は何れも安価な商品。滝ゆう子先生からそれを聞いて杉虎之助先生は「もしかしてオウチが貧乏太郎?」と驚いていた。上地雄輔が今期このドラマの他にフジテレビ火曜九時「セレブと貧乏太郎」にも主演級で出演していることを踏まえている秀逸な台詞。
なお、倉庫での乱闘の場面で吉田栄太郎はアクロバティクな技を披露。見た目には派手だが、戦闘力は大したことなさそうだ。でも、華やかだったし、あの容姿にあの身体能力があるというのが凄い。流石は一九九二年バルセロナ五輪の男子体操の銅メダリスト知念孝選手の子息だ。