セレブと貧乏太郎第五話

フジテレビ系。「セレブと貧乏太郎」。
脚本:古家和尚。音楽:山下康介。主題歌:いきものがかり「気まぐれロマンティック」。挿入歌:Safarii「Hero」。ナレーション:森山周一郎。企画:後藤博幸&成河広明。プロデュース:土屋健。演出:松田秀知。第五話。
大富豪の美田園アリス(上戸彩)の側近くに永年にわたり仕えてきた執事、郡司康夫(風間杜夫)の、「重臣」とでも形容するしかないような誇り高い忠義が、このドラマにおける一番の見所になっているような気がする。
大富豪と貧乏人との生活の差を強調するようにして始まったはずのこのドラマだが、何時しか物語は主に美田園家の御家騒動ばかりを描くようになっていて、佐藤太郎(上地雄輔)をはじめとする貧困の商店街の人々はそれに巻き込まれるだけと化している。しかし今宵の大脱走と追撃の騒動の只中にも不意に見られた安田幸子(国仲涼子)と太郎との間の深い信頼関係を見るに、実は、大富豪の女の出現によって逆に再確認される庶民にとっての本当に幸福な生活の姿をこそ、もっと描いた方がよいように思われる。太郎一家が今よりも幸福に生きてゆくことができるためには今よりも多くの金銭が必要だろうが、それは大富豪との婚姻を必ずしも要するわけではないし、大富豪の家に入ることが最も有効であるわけでさえない。劇中に描かれた太郎と幸子との絶妙な関係がそのことを思わせないではいないわけだから、今後その辺が展開される可能性も想定してよいだろうか。