ギラギラ第七話

テレビ朝日系。ドラマ「ギラギラ」。
原作:滝直毅&土田世紀。脚本:荒井修子。音楽:住友紀人。主題歌:GIRL NEXT DOOR「情熱の代償」。ホスト監修:頼朝&藤崎蓮。制作:ABC&テレビ朝日ホリプロ。演出:池添博。第七話。
新宿「ATLAS」会長の堂島文治(平泉成)は六本木の制圧に向けて本格的に動き出した。六本木にある全てのホストクラブを管理するための組織「六本木アトラス会」を立ち上げることを宣言し、会の結成と運営の仕切り役を「銀座の将軍」、銀座のクラブ「牡丹」&和風ホストクラブ「琥珀」経営者の葛城大成(石橋凌)に命じた。だが、六本木を征服したいという堂島の野望は本気だが、その仕切り役を葛城大成に任せたいという考えは本気ではない。
表面上はホストクラブ同士の自治と互助を謳いながらその実は全ホストクラブの一方的な支配を意図する「アトラス会」の結成にあたっては、各ホストクラブに対し、不利な条件を全て飲ませるため、暴力を用いた陰湿な嫌がらせによる営業妨害を用いる。今回も、葛城大成の指揮下、六本木のホストクラブ「Rink」をはじめ六本木中のホストクラブ皆が非道い目に遭わされた。でも警察に訴える者は皆無。ホストクラブ同士の諍いなんて夜の街の日常茶飯事であるから警察はホストクラブからの訴えに親身になることはない!とは六本木のホストクラブ「Rink」オーナーの園部有希(真矢みき)の言だが、流石に死傷者が出る程の騒動にもなれば警察も黙ってはいないだろう。白と黒との境界に灰色の領域が幅広く横たわっているのは確かだろうが、白と黒の区別も付かないというわけではないのだ。だからこそ堂島文治は仕切り役を全て葛城大成に任せた。やり過ぎて失敗しても、責められるべきは葛城大成だけであるし、逆に成功しても、会の結成を完了した暁には葛城大成は邪魔者でしかないから警察に逮捕させて追放すればよい。新宿の首領にとって銀座の将軍も所詮「駒の一つ」でしかないということだ。
それにしても、「Rink」マネイジャーの深見久明(田中要次)の子ども染みた身勝手さ加減には苛立たざるを得ない。葛城大成の配下の者(恐らくは暴力団員)によってオーナー有希が襲撃された日が、ホストの七瀬公平(佐々木蔵之介)にとっては義兄(山崎一)の手配により昼の会社への転職のための面接試験を受けている日であることを彼は知っていたはずだ。「Rink」の危機の中で「Rink」を去り難く思っていた公平に対し、有希も深見も、「Rink」を守るのは自分たちだけでも大丈夫であると述べた上で、公平には夜の街を去って家族を守るべく昼の社会で生きてゆくよう勧めていたではないか。そもそも有希の居場所を探すことは公平にしかできない仕事ではないはずなのだ。それなのに公平の面接を妨害するかのような電話をかけるとはどういうことだろうか。もっとも、「Rink」の誰も彼も悉く頼りにならない連中ばかりだからこそ、公平の「ギラギラ」な感じがいよいよ輝きを増すわけではある。
オーナー襲撃に先立ち、最初に襲撃を受けたのは翔児(三浦翔平)だった。昼間の街を歩いていたとき工事現場の鉄パイプの束が翔児の上に倒れてきたのだ。そのとき近くにいた秀吉(佐藤智仁)が、この事故が断じて事故ではなく意図的な事件であるに違いないと思われることを主張するにあたり、かつて自ら工事現場で働いていた経験に基づいたのは流石と云われよう。
ところで、新宿「ATLAS」における圧倒的No.1のホストだったカズマ(和田正人)は、六本木「ATLAS」へ移籍して六本木の制圧に尽力するよう堂島文治から命じられた際、六本木の支配を葛城大成に任せているとの言を聞くや反発し、逆に、母の仇である葛城大成に復讐すべく、敢えて「Rink」への移籍を願い出てきたわけだが、堂島文治や葛城大成からの刺客に襲われないで済まされるのだろうか。