セレブと貧乏太郎第九話

フジテレビ系。「セレブと貧乏太郎」。
脚本:樫田正剛。音楽:山下康介。主題歌:いきものがかり「気まぐれロマンティック」。挿入歌:Safarii「Hero」。プロデュース:土屋健。演出:北川学。第九話。
後藤田司(柏原崇)は美田園アリス(上戸彩)との婚約を破棄。だが、そもそも先週の第八話までの間に婚約を成立させるような過程は事実上は殆ど描かれてこなかったと云うに近く、今宵の第九話に至り唐突に湧いた婚約の話だったと云うも過言ではない。先週までの話の前半を支配したのは後藤田とアリスとの間の死闘の数々であり、死闘から婚約への変化は紆余曲折どころか唐突な変転の連続であって、今宵の前半における婚約の成立には必然性が乏しかった。アリスと佐藤太郎(上地雄輔)の「冒険」も、軽薄なセレブ女の単なる浮気にしか見えなかった。
ともかくも後藤田はアリスとの婚約を破棄した上、美田園家の支配する企業グループ「美田園グループ」の経営権を密かに買収し、分割の上で各国の富豪に売り渡したことを宣言。今日を境にアリスもアリスの継母の美田園真紀子(若村麻由美)も「無一文」になったことをも告げた。しかも佐藤太郎の住んでいる商店街も丸ごと外国の富豪に売却済みであると明かした。
実に謎めいた宣告だ。巨大な企業グループの経営権を、当の経営者=所有者に気付かれることなく密かに買収したとはどういうことか。それは可能なのか。さらに、その経営権を明け渡した者が無一文になったというのは二重の意味で不可解だろう。第一に、美田園家の人々は私有財産を全く所有していなかったのか?という点。会社を手放すことがどうして全財産をも手放すことにまで繋がり得たのか。倒産して会社を失ったわけでもないのだから、両項目は単純には直結しないはずだ。あの贅沢な生活の費用は全て会社が負担していたとでも云うのだろうか。次いで第二の疑問点は、経営権が買収された際の、その代金は一体どこへ入ったのか?という点だ。経営者であるはずの美田園家の人々にその金が入ったのであれば彼等が無一文になることはないはずだ。彼等は経営権を所有していなかったとでも云うのか。