セレブと貧乏太郎最終話

フジテレビ系。「セレブと貧乏太郎」。
脚本:田中一彦。音楽:山下康介。主題歌:いきものがかり「気まぐれロマンティック」。挿入歌:Safarii「Hero」。プロデュース:土屋健。演出:松田秀知。第十一話=最終回。
佐藤太郎(上地雄輔)の葬儀における美田園アリス(上戸彩)の告別の中の告白は劇中一番の泣かせ所として設けられたはずだが、生憎、この葬儀の場面へ至る唐突の展開それ自体がそれを邪魔した。太郎が花火の爆発に伴う行方不明のあと一体どうなったのか全く描かれないままに話は一気に葬儀の場へ突入したのだ。挙句、アリスによる涙の告白の直後、丁度よい具合に太郎が帰宅するという展開だったわけで、こうなると、出てくる感想は「遺体を探しもしないで葬儀をしていたのか?」という非難だけ。これでは泣かせ所も何もあったものではない。
財産をなくした元セレブ一家と貧乏な商店街の人々が一体どのようにしてあのような大掛かりな偽オークション会場を準備し得たのかも解らない。
太郎への永年の片想いを諦めざるを得なくなった安田幸子(国仲涼子)が、あのあと一体どのように気持ちを整理して、どのように生きてゆくことにしたのかも一切描かれない。没落した美田園家が結局どうなったのか、そして、実は犯罪により財を成していたらしい後藤田司(柏原崇)が全財産を失ったあと一体どうなったのかも描かれない。そもそも、このドラマの「セレブ」は狂人や犯罪者の類ばかりだった。