ジブリの絵職人男鹿和雄展

昼一時半頃だったか外出してスポーツクラブへ行って約四十五分間ばかり大いに鍛えて帰宅したあと、遅めの昼食を摂ってから再び外出し、夕方五時頃から、三之丸堀之内の愛媛県美術館で開催中の「ジブリの絵職人 男鹿和雄展-トトロの森を描いた人。」を観照。「平成狸合戦ぽんぽこ」資料の展示まで見終えて「おもひでぽろぽろ」資料の展示場所へ達したところで、生憎、閉館時間の六時になった。館内二階の全展示室にわたり六百五十点もの資料が展示されているようなので、全てをよく観照するには長時間を要する。まだ半分も見ていないので、続きは来年にでも見に来よう。
それにしても、アニメ映画における一枚の背景画を制作するにも、先ずは設定が鉛筆で描かれ、スケッチも制作され、試作品(「美術ボード」)が驚くべき完成度で制作されて、監督の判断を仰いでいるわけで、大変な手間をかけている。しかも、そうして制作された一枚の背景画は映画の中では数秒間しか使用されない。一本の映画に使用されるそうした背景画の枚数は凄まじい数に上るはずだが、今回の展覧会に出品された作品資料群を見ると一枚一枚の几帳面なまでの完成度の高さには驚かざるを得ない。展覧会名にも「ジブリの絵職人」とあるが、男鹿和雄の職人芸に近いものを美術史上に求めるなら安土桃山時代狩野派を挙げてよいのではないだろうか。実際、展示されていた背景画の中には、狩野派の筆法をかすかに連想させる筆致の風景画も見られた。日本の芸術の伝統は日展院展よりもアニメにおいて継承されているのかもしれない。