新番組=メイちゃんの執事第一話

今宵からの新番組。
フジテレビ系。ドラマ「メイちゃんの執事」。
原作:宮城理子メイちゃんの執事」(集英社)。脚本:古家和尚。音楽:河野伸高見優。主題歌:ROCK‘A’TRENCH「My SunShine」。企画:後藤博幸&太田大。プロデューサー:橋本芙美共同テレビ)。制作:フジテレビ&共同テレビ。演出:石川淳一。第一話。
二〇〇七年夏のドラマ「花ざかりの君たちへイケメンパラダイス」に比較すると物語は多少まともな感じのようだが、反面、主人公の女子に対する周囲の女子たちの集団のイジメの描写が陰湿で不快である上、第一話を見る限り、男子の出番が思いのほか少なくて面白味も足りない。と云うか、殆ど女だらけではないか。でも次回以降は多少は改善されて面白くなるに相違ないと期待して、見続けよう。
思うに、これと似た感じの始まり方をした二〇〇五年TBS系「花より男子」の場合、第一話の末尾の時点で既に主人公による反撃が始まったことで、集団のイジメの描写が与える不快感が一挙に一掃されていたわけで、その点が今宵のドラマとの印象の違いを生み出しているのだろう。
とはいえ一応このドラマの第一話の末尾にも主人公による反撃が描かれてはいたのだ。東雲メイ(榮倉奈々)が使い慣れた眼鏡を外してコンタクトレンズに替えたのがそれだ。それが今一つ「反撃」の始まりとして印象付けられなかった原因が、その変身による印象の変化、容姿の変容が殆ど認識できなかったことにあるのは云うまでもない。
ここで不図想起せざるを得ないのは、二〇〇五年七月十三日に放送されたNHK朝の連続テレビ小説「ファイト」における岡部聖也(三浦春馬)の華麗な変身のことだ。元来このカメラ・ヲタクの少年は、何時も学ランを着て眼鏡をかけた地味な冴えない中学生男子だったが、「恋する男の底力」で一念発起、眼鏡を外してコンタクトレンズに替え、髪を茶色にして髪形も替えて、洒落た服装にして見違える程のイケメン高校生男子に変身を遂げたのだ。もちろん演じるのが(当時まだ無名だった)三浦春馬であるから、もともとの素材が抜きん出た美少年ではあるわけで、変身前の冴えない男子としての姿にしても、所謂「眼鏡男子」として、充分「萌え」の対象になり得る美しさを備えていたわけではあるが、それにもかかわらず、眼鏡をコンタクトレンズに替えるという単純な変化によって惹き起こされる印象の変化の大きさには実に驚かされたものだった。それ自体が既に充分ドラマティクであり、まさしく「シンデレラ」の如し!と形容するに相応しい華麗な変貌だった。
しかるに、今宵のこのドラマにおける東雲メイの変化は、そのようなドラマティクな驚きを生み出さなかった。出演者の容姿や扮装はドラマを構成する不可欠の要素であるし、今回のように、容姿の魅力こそがドラマティクな効果を生じるための唯一の契機である場合さえもあるということを、制作者は認識できていなかったのだろうか。
ともあれ今後も真山明大南圭介加藤慶祐山口賢貴等の出番に注目しながら見てゆく予定。青山(真山明大)は悪役というか、冷酷な言動が美しい容姿に合っていたし、出番も多かった。築地(南圭介)と六本木(加藤慶祐)と中目黒(山口賢貴)は出番が多くはないようだが、注目し続けるのみ。