Q.E.D.証明終了第三話

NHK総合ドラマ8Q.E.D.証明終了」。第三話。
原作:加藤元浩。脚本:藤本有紀。音楽:海田庄吾。演出:伊勢田雅也。
今回の舞台は、燈馬想(中村蒼)と水原可奈(高橋愛)の通っている高等学校、学園祭の準備で賑わう放課後の校舎内。発生した事件こそ他愛もないものだったが、巻き込まれた人々が悉く変人揃いで、そこが面白かった。
先週の「Q.E.D.」と今週の「Q.E.D.」は別のドラマのようでさえあったが、風変わりな学園ドラマとして見れば最高に楽しかった。
特に見応えがあったのは、探偵同好会の「クイーン」こと江成姫子(垣内彩未)。女王様気取りの変な女子だが、言動ばかりか容姿も豪華で、いかにも女王様の感があった。他方、上方落語研究会の咲坂亭K助(辻本祐樹)は、顔は一見サワヤカな美形なのに、口調が既に噺家風で、甲高い声の早口で延々流暢に語り、他人の変な発言には瞬時に的確に反応してみせる能力の高さを発揮した。
上方落語研究会に喧嘩を売った軽音楽部の三人組、シルキー(鈴之助)&カズヤ(川原一馬)&コータ(小野健斗)は所謂ビジュアル系バンドの「ナルシスツ」として活動中。華美な恰好は往年のDAIGOスターダストの如し。売られた喧嘩を買った咲坂亭K助は「何や、その気色悪い化粧と衣装!芸に自信があらへんから、そんなもんで誤魔化してんねやろ?」と批判し、カズヤは少し気にしていたように見えたが、実のところ三人とも化粧をしない方が男前度が上がりそうだ。
上方落語研究会の咲坂亭K助にしても軽音楽部のシルキーにしても、他の部員たちが意外に柔軟性を持ち合わせてもいて、対立する他の団体の意見に少しは耳を傾けないわけでもない中、主宰の彼等のみはどこまでも強硬姿勢を貫こうとし、部員にもそれに従わせている感があったが、探偵同好会の場合だけは、会員三人ともそれぞれ屈することを知らぬ強気な変人だった。ことに「モルダー」こと盛田織理(渋谷謙人)に至っては、「ホームズ」こと長家幸六(広瀬斗史輝)が推理の真似事に徹していたのとは違い、独自な路線を行き過ぎて、もはや「探偵」でさえなかった。
探偵同好会の「クイーン」を演じた垣内彩未は、二〇〇五年三月から十月にかけて放送されたNHK朝の連続テレビ小説「ファイト」において木戸優(本仮屋ユイカ)や岡部聖也(三浦春馬)の友人、黒木里夏を演じていた。九月二十二日放送の回で、岡部聖也の愛を踏みにじる木戸優に対し「岡部が可哀相だよ!」と云ってその不誠実を責めた場面は印象深かった。当時から既に豪華な容姿だったが、なるほど、こういう豪華な役を演じるには最適だ。