月九ヴォイス第六話

フジテレビ系。月九ドラマ「ヴォイス 命なき者の声」。第五話。
脚本:金子茂樹。音楽:吉川慶&Audio Highs。主題歌:GReeeeN「刹那」。プロデューサー:瀧山麻土香&東康之。制作:フジテレビドラマ制作センター。演出:成田岳
加地大己(瑛太)が事件の関係者の宅を訪ねて己の推理を披露する場面が、今回は普段に比すれば幾らかは自然であるようにも見えたのは、訪問先の話相手が遺族ではなく「犯人」だったからに過ぎない。しかも、「犯人」に対する彼の言葉には押し付けがましく無神経な面があった。なぜなら、相馬泰人(石田卓也)の犯した罪それ自体が許されるものではないことは間違いないとしても、この加害の罪の重さを上回る量と水準において彼が被害者でもあることも確かであるのに、加地大己はそこにまでは想像力を働かせないからだ。無論それは無理もないことであるのかもしれない。相馬泰人の苦しみを理解できたのは、被害者である相馬朋子(志田未来)だけだったのかもしれない。相馬泰人の唯一の家族である朋子は、兄の本来の優しさと、その奥の苦労とを見詰め続けてきたのだ。ここで吾等も想像してみなければならない。一人の少年が、八歳下の妹を養い育てながら、自らも生活し、勉強して高校から大学へ進学することの労苦を。しかも大学への進学を果たした時点で世間の眼が冷たくなったろうことも大いに想像できよう。そうした世間の偏見にも、彼は耐えなければならなかったはずなのだ。
石田卓也を久々に見た気がするが、純朴で禁欲的な雰囲気の中にも色気のある顔立ちの美しさは健在だった。相変わらず魅力的だった。
石末亮介(生田斗真)に石末総合病院の院長職を継がせるため法医学への進路を諦めさせようと考えている彼の父、石末貴之(名高達男)は、相変わらず吾が子が法医学研究室に所属していることを知って、まだ法医学を諦めないのか?と呆れていた。吾が子が法医学研究室に所属していることは確かであるとしても、実は法医学なんか勉強しようともしないで探偵の真似事に夢中になっているに過ぎないという事実を、知らないのだろう。
脚本家とプロデューサーは、劇中の台詞において小島よしおに対し、本人不在の中で一方的に侮辱した件に関して、本人等に対し一言は謝罪しておくべきではないかと思われる。