アイシテル-海容第三話
日本テレビ系。ドラマ「アイシテル 海容」。第三話。
原作:伊藤実。脚本:吉本昌弘。演出:吉野洋。
家庭裁判所調査官の富田葉子(田中美佐子)は、事件の加害者である野口智也(嘉数一星)について加害者の母さつき(稲森いずみ)の話を聞き、同時に近況を知らせるため、近所の喫茶店で会った。しかるに店内の隣席には偶然にも被害者の姉、美帆子(川島海荷)がいたのだ。
この種の偶然は物語にはありがちなことだが、問われるべきは、世間の注目を集める犯罪事件について秘密のことを知る責任重大な立場にある者がどうして加害者の母との会話の場を街中の喫茶店の、しかもあのような隣席と遮断されてもいない開放的な席に求めたのか?という点だ。被害者の親族に話を聴かれるというのは流石に通常あり得ない程に稀なことだろうが、あのような会話の内容は誰に聞かれても駄目なのではないだろうか。なぜならそれは公務によって知り得た機密の事項に属するからだ。どうして職場の会議室等ではなく、あのような場所で会うことを受け容れたのか。そのようにせざるを得ない事情があったのか。フィクションとはいえ、難しい問題を扱う以上は、そこのところの必然性や少なくとも蓋然性を描いてくれないことには納得して見ることができない。