木曜劇場BOSS第七話

フジテレビ系。木曜劇場「BOSS」。第七話。
脚本:西平晃太。音楽:澤野弘之和田貴史林ゆうき。プロデュース:村瀬健&三竿玲子。制作:フジテレビドラマ制作センター。演出:成田岳
ニュースキャスターの高峰仁美(富田靖子)は、警察の取調を受けていた東郷英憲(小市慢太郎)の急死に関して、彼が十年前のストーカー殺人事件の報道において被害者を見殺しにする罪を犯していたことを悔いての死であることを自身の番組において報じた。奇妙なことだ。なぜならその事件に関する十年前の報道こそは、このニュースキャスターの出世作とも云えるからだ。その報道の方法に倫理的な罪があるとすれば東郷と同じく高峰も責めを負うだろう。それなのに、どうして逃げ切れると思い込んだのか。
今回の事件における二人の男の殺害は、何れも高峰の犯行によるものだった。ジャーナリストとしての己の名声を守るための犯罪だったわけだが、そもそも十年前の、名声を得るために犯した罪の重さを考えるとき、この女にまともな知性があるとは信じ難い。名声を守るために仕組んだ犯罪の巧妙性に窺える知と、軽い目的のために重い罪を犯してしまう程の知の欠如との間のバランスの悪さが何とも気になる。このような意味において、この女と大澤絵里子(天海祐希)とは全く似ていないと云わざるを得ない。