仮面ライダーディケイド第二十二話

東映仮面ライダーディケイド」。
第二十二話「ディエンド指名手配」。脚本:井上敏樹。監督:石田秀範。
仮面ライダーディケイド=門矢士(井上正大)と仮面ライダークウガ=小野寺ユウスケ(村井良大)と「夏みかん」こと光夏海(森カンナ)の三人に光写真館主の光栄次郎(石橋蓮司)を加えた一行が訪れた十一番目の世界は「海東の世界」。バスが一日に一度しか通らないような山奥の村。仮面ライダーディエンド=海東大樹(戸谷公人)の故郷に他ならない。
村人たちの誰もが誰にでも親切で心優しい。善良な人々だけが住んでいる世界かと見えたが、そこでは海東大樹は指名手配中。村の至るところに指名手配のポスターが貼ってある。しかも預言者の鳴滝(奥田達士)によれば、この世界では仮面ライダーは世界の敵、人類の敵として排斥され抹殺されようとしている。
さて、海東大樹はどうして指名手配されているのか?泥棒だから…というわけではなさそうだ。やはり仮面ライダーを敵と視るこの世界において、仮面ライダーディエンドに変身するからだろうか?と考えるに、どうやらそうでもないと思われる。少し考証してみよう。
門矢士が遭遇した二人の仮面ライダー仮面ライダーランス=禍木慎(杉浦太雄)仮面ライダーラルク=三輪春香(三津谷葉子)には昔は一人の仲間がいた。かつて仮面ライダーグレイブとして戦っていた海東純一(黒田勇樹)。海東大樹の実兄に他ならない。海東純一が現在は仮面ライダーランすとラルクの仲間ではないのは、弟の大樹が敵側の組織「エリア管理委員会」事務局の警察官だった過去に起因するようだ。かつて大樹に何事かがあり、そのゆえに兄の純一は仮面ライダー側から「エリア管理委員会」側へ転じる結果となって現在はその事務局次官にまで昇り詰めている。
この世界を支配していると見られる「エリア管理委員会」は実は、まるで「仮面ライダー剣」におけるジョーカーの子分たちを想起させるような不気味な怪物「ローチ」の支配下にあり、要するにこの世界は「ローチ」の支配下にある。人間が「ローチ」に立ち向かってゆくためには仮面ライダーの力が必要であり、有効でもあるはずであり、だからこそ「ローチ」は仮面ライダーを取締りの対象にせざるを得ない。
以上の背景を踏まえつつ、海東大樹の指名手配について考えるために押さえておくべき事実がさらに二点ある。一つは、禍木慎も三輪春香も、大樹がディエンドという名の仮面ライダーに変身し得ることを知らなかったこと。もう一つは、指名手配の対象は海東大樹と仮面ライダーディエンドであり、それぞれについて指名手配を告げるポスターは隣り合わせて掲示されていたとはいえ、両者が同一であることは説明されていないと見えたこと。
これらを総合して考えるなら、海東大樹が指名手配されているのは、仮面ライダーに変身するからではなく、むしろ「エリア管理委員会」を裏切って逃走したからではないかと推察される。他方、ディエンドが併せて指名手配されているのは、恐らく、本来「エリア管理委員会」の所有物だったのが(海東大樹の失踪と同時期に)何者かによって盗まれたからではないだろうか(もちろん盗んだのは「怪盗」海東大樹だろう)。
ところで、今回ユウスケは突然「ローチ」によって捕らえられ、「エリア管理委員会」の海東純一によって何か洗脳のための手術までも施されようとしていた。一体どうなるのだろうか。今朝の話の前半では彼が最高度に幸せそうな楽しそうな様子だったのを見ているだけに、その直後のこの急転直下は余りにも辛い。彼は助かるのだろうか。と云うか、これは今後の物語の流れの上で必要不可欠な展開だったのかどうか。