任侠ヘルパー第六話

フジテレビ系。木曜劇場任侠ヘルパー」。第六話。
脚本:古家和尚。演出:葉山浩樹。
老人の色恋をめぐる和泉零次(山本裕典)と二本橋賢吾(宇梶剛士)との間の言い争いについて優劣を断じることは難しい。二本橋の言い分に心情的に肩入れする人々は少なくないだろうし、確かに正しいことを云っているのだと思われるが、他方、和泉も決して間違ったことを云ってはいない。
和泉の言い分が、徳田百合(横山めぐみ)の表明する感情とは同じではないということにも注意する必要がある。なぜなら和泉の説教は攻撃的な口調で表現されていた所為で反感を買い易いのは確かだとしても、本質的にはヘルパーという職業における責任の限界を述べていたに過ぎないからだ。老人の色恋それ自体を嫌悪するのではない。
もっとも、認知症の状態にある老人は判断力を欠いているという前提(云わば小前提)から、(恐らくは「恋が成立するには少なくとも程々の判断力が必要である」とでも云った大前提の下に)そうした状態にある老人には恋は可能ではないという結論を導き出したことに関しては、確かに和泉と徳田百合との間には共通する思考があると云える。だが、この結論は老人一般における恋の可能性までも否定したものであるとは云えない。そもそも老人にも色恋が成立するのは確かだとしても、その手助けをすることがヘルパーの仕事に含まれなければならないわけでもない。