仮面ライダーW(ダブル)第一話

東映仮面ライダーW(ダブル)」。
第一話「Wの検索/探偵は二人で一人」。脚本:三条陸。監督:田崎竜太
仮面ライダーWの形姿が思いのほか美しい。まるで古代ギリシア・ローマ彫刻の男子裸体像(例えばルーヴル美術館蔵のボルゲーゼのマルス)のようにシンプルなフォルムには威厳と気品さえも感じる。昭和の仮面ライダー風のマフラーが復活しているが、これもシンプルに流麗なフォルムを美しく際立たせていると見える。右と左とで色が違うのは「二人で一人」であることの表現だが、テレヴィ画面上に半分だけを交互に映してそれぞれの意思の独立性を表していたのも面白かった。
仮面ライダーWに変身する左翔太郎(桐山漣)&フィリップ(菅田将暉)の二人組の内、左翔太郎は、昭和の半ばのテレヴィドラマに出てくる私立探偵のような気取った恰好と言動で、でも「ハードボイルド」になり切れない感じでもあるのが親しみ易くて楽しい。他方、フィリップは頭脳中に蔵される「地球」上のあらゆる知を徹底的に検索して事件を探る手がかりを「相棒」の左翔太郎に提供するが、この設定はインターネット上で知の検索をするのが常識と化した当世ならではのもの。行動する少し古風な男子と、頭脳中の世界に沈潜するインターネットの擬人化のような男子との組み合わせが面白い。
刑事の真倉俊(中川真吾)は左翔太郎とは犬猿の仲。刑事と探偵との仲違いというのも探偵の物語には馴染みの設定で、こういうのは必要だろう。園咲琉兵衛(寺田農)の率いる悪の組織(表面上は企業?)の居城は今やテレヴィドラマ撮影の場所として姫路城以上に馴染みのある独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館本館(天皇陛下御在位二十年の本年の秋には「皇室の名宝展」を開催予定)。