華麗なるスパイ第七話

日本テレビ系。土曜ドラマ華麗なるスパイ」。第七話。
脚本:君塚良一。演出:岩本仁志
今宵このドラマの放送中には裏番組のNHK土曜ドラマ「再生の町」を見て、終わったあと十時からこのドラマを見た。このドラマを録画しているのに対して、「再生の町」を録画していないわけだが、むしろ逆にすべきだったろうかとも感じている。
ともあれ、このドラマも興味深くなってきたのは、ミスター匠(柄本明)が鎧井京介(長瀬智也)と平原三九(杏)に対し、驚くべき真相を語り出したからだ。ミスター匠によれば、吉澤総一郎(渡哲也)こそが国家の敵であり、その野望を阻止することがミスター匠の意図であると云うのだ。驚くべき真相だが、本当かどうかは未だ確かではない。
日本を「軍事大国化」するという吉澤の野望が、ミスター匠が云うように本当に国家と国民への裏切りであるのかどうかは、日本の外交をどう考えているか次第であるだろう。もし他国に隷従するための、換言すれば国家を売るための、或いは他国に無謀な侵攻をなすための軍事大国化であれば確かに国家への反逆でしかないが、独立国家としての自由を保守するための軍事大国化であれば、むしろ愛国者の決断であるかもしれない。ドラマ制作者にはその辺までも描く覚悟はあるのか。
そもそも軍事大国化への道として、テロリズムの「自作自演」は(米国であれば有効な策であるのかは知らないが)巧い策であるとは思えない。それよりはむしろそれとは全く関係のない政策を(例えば公務員のリストラを断行する!とか)打ち出し、抵抗する勢力を悪役に仕立てて攻撃し、国民からの拍手喝采を浴びて、国民の多数の注意を逸らしつつ、熱狂的な支持の勢いに乗って進める方が近道であることだろう。無論その前提としては、貧乏な家の子でも通える公立学校においては教育の水準を下げておくこと(例えば円周率を「三」に単純化する等)によって、国民の大半を対象とする愚民化を進めておく必要もあるに相違ない。