仮面ライダーW(ダブル)第三話

東映仮面ライダーW(ダブル)」。
第三話「Mに手を出すな/天国への行き方」。
脚本:三条陸。監督:諸田敏。
探偵青年の左翔太郎(桐山漣)も相棒フィリップ(菅田将暉)も、敵側の須藤霧彦(君沢ユウキ)も登場人物が皆それぞれ楽しくて魅力的だが、それに加えて、やはり仮面ライダーWの形姿が美麗であることがこのドラマの魅力を増幅していると感じた今朝の放送。
何といっても決定的だったのは、後半の、謎のカジノ「ミリオンコロッセオ」へ向かう走行中のバスの屋根の上の戦闘。この種の特撮ヒーロードラマや時代劇等の約束事として、戦闘中のヒーローは格好よい動作で戦い続けるだけではなく、要所要所で格好よいポーズを見せるのが常だが、この仮面ライダーWの場合、もともとの容姿が(第一話の感想で述べたように)古代ギリシア彫刻を連想させるシンプルなフォルムの美しさを備えているので、格好よいポーズが一々美しく決まる。しかもそのポーズが、これまた古代ギリシアのコントラポスト風で、体のフォルムの美を最高度に際立たせている。
フォルムに加えて言動も格好よい。今朝のきめ台詞は「街の涙を拭う二色のハンカチさ」。左翔太郎は、街を愛する生来の人情家である所為で「ハードボイルド」にはなり切れない「ハーフボイルド」(半熟)止まりの探偵青年であるとはいえ、心は何時も「ハードボイルド」であるから名言を連発する。
犬猿の仲の刑事、真倉俊(中川真吾)を、左翔太郎は「なまくらさん」呼ばわり。流石、なかなか巧いことを云う。真倉は何時もながらアグレッシヴだが、親分の刃野幹夫(なだぎ武)が翔太郎と手を組んでいるので間に入ることもできない。逆にそれだからこそ一層アグレッシヴになってしまうのだろうし、何時かこの犬猿の仲が変容するときが来れば、それはドラマを熱くするかもしれない。
フィリップは戦闘の只中に「我が家」「家族」という「キーワード」を耳にするや自ずから何かを想起して(或いは「検索」して)気を失い動作を止めてしまっていた。失われた過去の記憶だろうか。それを園咲家の人々は知っているのだろうか。少なくとも仮面ライダーWに関しては知っていると思しい。園咲家に「自慢の婿」と思ってもらえると確信しつつ婿入りをした須藤霧彦はその辺を何も知らせてもらっていない。未だ「自慢の婿」とは思ってもらえていないと云うか、疑われているのだろうか。