チーム・バチスタ第2弾ナイチンゲールの沈黙

フジテレビ系。金曜プレステージチーム・バチスタ第2弾 ナイチンゲールの沈黙」。
原作:海堂尊。脚本:後藤法子。演出:今井和久。
東城大学付属病院小児病棟に入院している牧村瑞人(高田翔)は、自身の父(金山一彦)が殺害されたときには全く動揺しなかったのに対し、同じ病棟の岡部巧(中島健人)が脳腫瘍の手術の成功後に意識の戻らない状態と化したことを知ったときには激しく動揺した。なぜか。まさか、愛しているからなのか?と思ったが、真相はそうではなかった。父の死と巧の異変という二つの事件の謎を繋ぐのが瑞人だったからに他ならない。とはいえ瑞人と巧の間に圧倒的なまでの信頼関係があったからこその謎でもあった。
題名の「ナイチンゲール」とは、小児科の看護師の浜田小夜(山田優)が瑞人や巧、佐々木アツシ(加部亜門)等の入院患者から慕われ、ことに瑞人からは恋に近い想いを寄せられていたことを表しているのだろうか。それとも、浜田小夜の歌う子守唄が、その昔、中国の皇帝を魅了したと伝えられる「夜鳴鴬」「小夜鳴鳥」の歌のように美しく、聴く者の心を慰め、死神を去らせることを云うのだろうか(劇中のあの歌をそのように聴くのは難しいが、そういう設定だろう)。ロココ時代の宮廷人は夜鳴鴬の美声に、恋する者の想いを重ね合わせて聴いたようだが、ここでは、瑞人の小夜への想いをそこに関連付けることができるのかもしれない。
瑞人の頑なだった心を動かすことができたのは、意識を微かに取り戻しながらも声を取り戻してはいなかった巧の、沈黙の内の一言だった。瑞人が巧には心を開くことができることは、二人の手術がそれぞれ成功したあとの、病院の庭における表情から明らかだ。退院後の瑞人には家庭裁判所での審判が待っていることを田口公平(伊藤淳史)が述べていたが、一体どのように裁かれるのか。そしてそれよりも気になるのは、家族のいない彼には一体どのような生活が待っているのだろうか?という点だ。
中島健人は薄味のキレイな美少年だが、高田翔は眼光の鋭く男らしさの濃い美少年。対照的な雰囲気があって、よい組み合わせだった。「百識王」(現在テレビ愛媛では見ることができなくなっているのが無念)で見る高田翔はクネクネした動き方をするが、演技をしている間は別人になるようだ。