NHKとめはね第四話

NHKドラマ8とめはねっ!鈴里高校書道部」。第四話。
このドラマにおける見所の一つは、大江縁(池松壮亮)の、今にも泣き出しそうな絶望の表情にある!ということをこれまで毎週ここに書いてきたが、今週もあった。しかも今回のは、ライヴァル鵠沼学園書道部員の勅使河原亮(中村倫也)との直接対決の場面でのことだったのだ。
鈴里高等学校書道部における大江縁の一番の友である望月結希(朝倉あき)に恋をした勅使河原亮は、この恋心の発端はむしろ望月結希の側からそれらしいことを云われたことにこそあること、しかるに今や自分の方こそ恋心を抱いてしまっている以上、告白したい考えであることを、敢えて大江縁に説明し予告した。なぜ予告したのか。その理由を彼は「大江君と望月さんは仲良さそうだから」と説明したが、その含意は、一つにはもちろん彼自身が述べた通り「大江君との友情も大切にしたい」ということで間違いないだろうが、もう一つには、大江縁もまた望月結希に恋心を抱いているに相違ないこと、ゆえに強力な恋敵に他ならないことを彼なりに見抜いた上で、この恋の戦いにも負けたくはない!負けるつもりもない!ということを宣言しておきたかったということだろう。
ところが、勅使河原亮の望月結希に対する告白が偶々不発に終わった中、大江縁の望月結希に対する余りにも熱い思いの表明を、望月結希は偶然にも耳にしてしまった。高校へ入る前まで海外で過ごしていた彼にとって望月結希は、生まれて初めての友だったのだ。恋としてではなく一応はあくまでも友情として表現されていた彼の思いの熱さは、今にも泣き出しそうな顔で語り出され、語り終えた彼は泣いていた。
ここで注意しておきたいのは、勅使河原亮の告白が不発に終わってしまった原因だ。
望月結希が出場して優勝を果たした柔道大会の会場の出口で、意を決して告白をするにあたって彼は、柔道選手としての望月結希の素晴らしさを賞賛する中で、(1)鈴里高校の書道部が書道甲子園の書道パフォーマンス部門に出場する予定であること、しかるに(2)望月結希が柔道選手としての活動を優先するためにそれには出場しないと聞いたこと、(3)そのことを残念に思う反面、柔道における才能を見れば流石に納得せざるを得ないのかもしれないとも思ったことを語った。だが、この書道パフォーマンスの件を彼から聞かされた望月結希は、それを全く知らされていなかったことの驚きと寂しさと悲しさのゆえに、もはや彼の話が耳に入らない状態と化していた。それが不発の原因だったのだ。しかるに望月結希にとって書道部における活動が大江縁と一緒の切磋琢磨を抜きにしてはあり得なかったものである以上、この原因は、勅使河原亮の思いも寄らない水準で、彼にとっては致命的であると云わざるを得ないのかもしれない。