仮面ライダーW(ダブル)第二十九話-風の左平次

東映仮面ライダーW(ダブル)」。
第二十九話「悪夢なH/眠り姫のユウウツ」。
脚本:長谷川圭一。監督:田崎竜太
他人の夢の中に現れて、夢を荒らして悪夢と化した挙句、その人を眠りの中に閉じ込めたまま、醒めることもできなくしてしまう恐ろしいドーパントを退治するため、左翔太郎(桐山漣)も照井竜(木ノ本嶺浩)もそれぞれ夢の世界へ潜入捜査。フィリップ(菅田将暉)も翔太郎の夢の世界へ同行したが、翔太郎が見た夢は、前夜に夢中になって見てしまった時代劇「風の左平次」DVDの影響で、完全に時代劇の世界。仮面ライダーWサイクロン=ジョーカー(「疾風=切札」!)が江戸八百八町を駆け抜けた。
先月放送されたNHK衛星第二日めくりタイムトラベル」昭和四十六年篇でも関係者の証言によって明らかにされていた通り、「仮面ライダー」という特撮ドラマの様式は、東映の本領とも云うべき時代劇の手法を原型として生み出された。だから今回の話は待望の展開であると云える。実際、翔太郎が見ていた時代劇DVD「風の左平次」(劇中劇)の映像も流石に凝っていた。
左翔太郎が見た夢の世界で、彼はもちろん主人公の、銭形平次ならぬ風の左平次。鳴海亜樹子(山本ひかる)は左平次の奥方。その名は「おあき」。銭形平次の奥方の名は静(しず)だが、左平次親分の家の亜樹は全く静かではなく、しかも草履で人を打ちのめす技の心得がある。そして翔太郎の相棒フィリップは、左平次親分の手下の八五郎、ガラッ八ならぬフィリッ八。だが、その正体は検索一筋の江戸町奉行、名付けて検索奉行と云う。もちろん照井竜も町奉行所の同心として登場した。多分、その配下には真倉の親分(中川真吾)もいて、銭形平次に対する三ノ輪の万七と同じく、左平次へのライヴァル心を燃やしていることだろう。
ところで。先の土曜日だったか、時代劇チャンネルで東映時代劇の傑作「銭形平次」を見たのだが、大川橋蔵の平次の美し過ぎる容姿には驚愕した。実物があの通りの顔だったわけではなく、時代劇特有の化粧等によって正義の味方の理想の容姿を作り込んでいたのだろうとは思う。その意味で時代劇は凄いと思った。