仮面ライダーW第四十七話
東映「仮面ライダーW(ダブル)」。
第四十七話「残されたU/フィリップからの依頼」。
脚本:三条陸。監督:石田秀範。
左翔太郎(桐山漣)とフィリップ=園咲來人(菅田将暉)との交際に、かつてあんなにも反対していたシュラウド=園咲文音(声:幸田直子)が前回ついにそれを認めるに至ったのは、來人の運命を悟った上での決断だったらしい。
既に幼時に、不慮の事故で亡くなったのち、園咲家ミュージアムの力により、地球上の「データ」の集積体として身体を構成して復活を遂げていた來人は、翔太郎と出会ったことで単なるデータではない人間フィリップになったが、園咲家ミュージアムとの死闘の影響を受けて、間もなく消滅しなければならなくなった。これが不可避であることを知るシュラウドは、フィリップ=來人の母として、來人に幸福な笑顔のままで最期を迎えて欲しくて、それをなし得るのは翔太郎以外にはないと見定めていたのだ。
平成「仮面ライダー」に時々出てくる感のある男子同士の友情と云うか愛の話は、先の「仮面ライダーディケイド」では前半に描かれ、後半では殆ど単なるギャグにされていたが、この「仮面ライダーW」では正面から繰り返し描かれてきた。「仮面ライダー剣」以来のことではないだろうか。愛するからこそ己自身を、或いは敢えて愛する相手その人を犠牲にしなければならないという極限状況は、半年以上の時間をかけた数々の話と描写の積み重ねの上にしか成立しないのかもしれないことを、吾等視聴者はその点に関する成功例としての「仮面ライダー剣」によって既に学び得た。「仮面ライダーW」はどうなるだろうか。最終回まで残る二話を見守るのみ。