ホタルノヒカリ2第八話

日本テレビ系。水曜ドラマ「ホタルノヒカリ2」。第八話。
雨宮蛍(綾瀬はるか)が三度も待ち合わせの約束を破ったことについて「部長」高野誠一(藤木直人)が深く失望し大いに怒った。この怒りを理解することはできる。いかに正当な理由があろうとも三度も続けて約束を破られれば流石に失望せざるを得ないだろうし、二度目の違約に関していえば正当な理由それ自体がないばかりか、雨宮蛍は嘘の言い訳をしてしまっていたのだからだ。反面、高野誠一の怒りも全面的に正当であるわけではない。なぜなら雨宮蛍が約束を守れなかったのは、一度目と三度目に関する限り、どうにも避け難い事情があったのだからだ。雨宮蛍が仕事を続けること自体に高野誠一が反対しているのでもない限り、彼のこの怒りは、少なくともその三分の二は極めて理不尽であると批判することができる。
雨宮蛍に問題がないとは云えない。むしろ問題児であると云うしかない。だが、高野誠一も、雨宮蛍に余り無理を強いても良い結果なんか一つも得ることがないことを、既に学んでいたのではなかったか。確かに今回の約束事に関しては雨宮蛍の側からの提案もあったわけだが、この「干物女」が自身の性に合わない厄介なことを自ら引き受けようとする場合、その動機が「部長」高野誠一を喜ばせたいという思いの他には何もないことも、高野誠一は既に知っているはずだ。
この二人の間の事情を知っている周囲の人々の無神経も凄まじい。瀬乃和馬(向井理)は雨宮蛍が単なる独身の女子ではないことを知っているのに、どうして夜中に呼び出して酒を飲ませてしまうのか。雨宮蛍に好意を抱いているというのに、余りにも愛がない。やはり高野誠一との破局を狙っているのではないのか。
もっと無神経であるのは浅田小夏(木村多江)。高野誠一の性格を誰よりもよく知るこの女は、己の性格を高野誠一が誰よりもよく知ることをも知るはずだ。高野誠一には全く通じないような、直ぐに見破られるような嘘を、どうして云ってしまったのか。嘘を云っていると疑われるのは雨宮蛍であるかもしれぬとは思いも寄らなかったのか。やはり己を「女にしてくれた」高野誠一と、雨宮蛍との破局を狙っているのだろうか。