GOLD第八話

フジテレビ系。木曜劇場「GOLD」。第八話。
早乙女洸(松坂桃李)は冷静な優等生として振る舞っていたが、五輪で金メダルを目指すことの重圧には耐え難くなっていたのか、富豪の神代沙織(佐藤めぐみ)と神代麻衣子(南沢奈央)の姉妹と出会い、その姉から、優等生としての己の「価値」を維持したまま重圧を逃れたければ負傷して五輪に出場できなくなればよいと唆されるや、直ぐに自ら交通事故に遭った。五輪を目指すこと自体が非凡な事業である以上、その重圧の程を吾等一般人は理解し切れないが、それにしても、非凡な「美しき子供」(ビューティフルチャイルド、略してビーチャイ)として二十年間を生きてきた早乙女家の長男にしては余りにも愚かな行為であると云わざるを得ない。事故で負傷して病院に運ばれ、ようやく正気を取り戻した彼が、この愚かな行為に関してその責任が神代姉妹の姉にあることを明かし、非難したときの見苦しさこそは、彼の「価値」を最も救い難く貶めるものだった。神代姉妹の姉が俗悪であることは云うまでもないが、俗悪な者と交際して悪影響を受けることはその者を選んだ者の罪ではないだろうか。
早乙女晶(武井咲)は交際していた宇津木洋介(綾野剛)への思い絶ち難く、彼の肩にあるのと同じ入墨を自身の肩にも入れた。これで水泳選手としての生命は絶たれた。愚かなことだ。だが、これは文字通りにのみ解すべきだろうか。それとも入墨を入れることは違法薬物を摂取することを含意するとまで解すべきだろうか。何れにせよ病んでいる。
驚くべきことに、今このドラマにおける唯一の救いは新倉リカ(長澤まさみ)の能天気な明るさだけになっている。まさか長澤まさみに救われるドラマが作られることになろうとは、このドラマを見るまでは予想したこともなかった。