テストの花道&寄り道第十八回

NHK教育の、受験生のための(そして大人にも為になる)番組「テストの花道」(及び関連番組「テストの寄り道」)。録画しておいたのを四本まとめて一挙に確認した。
八月十四日の土曜日の朝九時二十五分から再放送(その直前の月曜日の夕方に本放送)されたのは第十回「花道の先輩ドキュメント」の再放送。云わば再放送の再放送。その次の週の八月二十一日の土曜日の朝九時二十五分から再放送されたのは第十一回「文章を書く」の再放送。そして八月二十八日の土曜日の朝九時二十五分から再放送されたのは第十二回「類推する」の再放送。三週三回続けて再放送(の再放送)。何れも好評に付き夏休の高校生に向けて再放送したのだろう。
九月四日の土曜日の朝九時二十五分から再放送されたのが第十八回。課題は「新たな発想をする」。もちろん単に斬新な発想をすることのみを要求するのではなかった。新たな発想を提案しつつも、その新奇性や意義を説得力ある仕方で表現できることこそ必要であることを要求する内容だった。
そして新たな発想を自ら見付け出して、さらにその意義をも主張できるようになるための方法として、「事実」「感情」「提案」「評価」「デメリット」「まとめ」という六つの契機を備えて思考することが提起された。この方法は大学入学試験における小論文で有効に活用され得ることも説明された。
この方法が提起され、説明された際、それを聞いていた真田佑馬は「事実と感情は同じようなものではないか?」と質問していた。この質問は意外に深い。なぜなら事実を認識する行為それ自体は感情を伴った感覚に基づくものである以上、事実は感情から隔離し切れないと思われるからだ。あの気弱な質問の瞬間、彼は哲学的だった。事実と感情は意外に区別し難いものであるということを踏まえてこそ、両者を仕分ける作業も厳正に行われ得るに相違ない。「小さな哲学者」としての真田佑馬は受験勉強という観点からは途轍もなく遠回りをしているようにも見えるが、それは却って実り豊かな道にもなり得るはずだ…と思う。