天皇陛下御言葉さかなクンの名に言及

さかなクン快挙の続編。明日十二月二十三日の天子御誕生日に先立ち皇居の宮殿において行われた記者会見で天皇陛下生物多様性年の暮れゆこうとするこの時期にクニマスが発見され、「日本の淡水魚が一種増えた」件についても触れられ、驚くべき哉!「さかなクン」の名をも挙げられた。
陛下御発言の内、関連する部分を引用しておこう。「この生物多様性年も終わりに近い頃、日本の淡水魚が一種増えました。それは、最近新聞などでも報じられたクニマスのことです。クニマス田沢湖にだけ生息していましたが、昭和の十年代、田沢湖の水を発電に利用するとき、水量を多くするため、酸性の強い川の水を田沢湖流入させたため、絶滅してしまいました。ところがこのクニマスの卵がそれ以前に山梨県の西湖に移植されており、そこで繁殖して、今日まで生き延びていたことが今年に入り確認されたのです。本当に奇跡の魚(うお)と言ってもよいように思います。クニマスについては、私には十二歳の時の思い出があります。この年に、私は、大島正満博士の著書「少年科学物語」の中に、田沢湖クニマスは酸性の水の流入により、やがて絶滅するであろうということが書かれてあるのを読みました。そしてそのことは私の心に深く残るものでした。それから六十五年、クニマス生存の朗報に接したわけです。このクニマス発見に大きく貢献され、近くクニマスについての論文を発表される京都大学中坊教授の業績に深く敬意を表するとともに、この度のクニマス発見に東京海洋大学客員准教授さかなクンはじめ多くの人々が関わり、協力したことをうれしく思います。クニマスの今後については、これまで西湖漁業協同組合が西湖を管理して、クニマスが今日まで守られてきたことを考えると、現在の状況のままクニマスを見守り続けていくことが望ましいように思われます。その一方、クニマスが今後絶滅することがないよう危険分散を図ることはぜひ必要です」。