ギルティ第十一話=最終回

フジテレビ系(関西テレビ制作)。ドラマ「ギルティ 悪魔と契約した女」。第十一話=最終回。
野上芽衣子(菅野美穂)の逃げ足の速いこと!落とし穴!その落とし穴への三沢準(柏原収史)の落ち方の上手さ!最終回に至って物語が急に新喜劇にでもなったのか?と思わせる程に、面白い場面の連続だった。
野上千津(岩本多代)の手の平の返し方の速さにも驚いたが、そもそも野上千津が実の娘である野上芽衣子を悪人だと決め付けていた根拠が実は、逮捕されて有罪になったという事実の他には何一つなかったという事実にはさらに驚かされた。子への愛情の欠片もない親だ。その意味では堂島基一(唐沢寿明)とは正反対の位置にあるとも云えるだろうか。
少々考えさせるところがあるのは、小山内琴美(横山めぐみ)の急転直下の余計な告白。この告白は物語に必要だったのか?と疑わずにはいられないが、小山内琴美が殆ど不自然なまでに野上芽衣子に親切であることの裏にはそれなりの事情があって然るべきだとは予て感じられたから、その裏の事情の解明は無意味ではなかった。
三沢豪(津嘉山正種)の一人目の妻の実の娘であるこの女は、自身の母を捨てて有力者の令娘を二人目の妻とした父への復讐のため、二人目の妻の子である三沢準を唆して罪を犯させたが、その事件によって三沢準が逮捕されることはなく、三沢豪が失脚することもなかったばかりか、全く関係ない野上芽衣子が犯罪者に仕立て上げられてしまった。そのことの罪滅ぼしのために、小山内琴美は野上芽衣子を庇護することに必死になっていたのだ。
問題は、この真相を知らされた野上芽衣子が気力を失い、愕然としていたことの意味だ。信頼していた相手が実は事件のそもそもの発端を作った張本人だったことを知って失望したのだろうか。それとも、己を苦しめた事件の全ての関係者への復讐が今ようやく完了したと思った矢先に、意外な関係者が一人、まだ残っていたことを知らされて、落ち込んだのだろうか。何れにせよ、この場面での野上芽衣子の「うそお!」という無気力な悲鳴は、余りにも間抜けに響いたことによって逆に、喜劇的なまでに悲劇的な事態の深刻性をよく表したとでも云うべきだろうか。
今宵の話の最後、脱走して、毒を飲んで自殺した野上芽衣子の口に、真島拓朗(玉木宏)は口を接して、暫くして野上芽衣子の上に倒れ込んだように見えた。心中だろうか。そして鶴見真人(水上剣星)がこの物語において担った役割は何だったのか?という最大の謎も残されたままだ。