デカワンコ第四話
日本テレビ系。土曜ドラマ「デカワンコ」。第四話。
警視庁刑事部捜査一課の第八強行犯捜査の殺人捜査第十三係の新人刑事、ワンコ刑事、否、デカワンコこと花森一子(多部未華子)は今回、シゲ刑事こと重村完一(沢村一樹)の取調室における仕事に同席したことから、「嘘の匂い」を知った。嘘をついた人はそれに伴う緊張感等から発汗して体臭を変える。ゆえに嘘には匂いがある。
このことは捜査を進めてゆく上で一つの手掛かりになるだけではなかった。殺人事件の被疑者として東京拘置所にありながらも、ワンコにとっては今なお最も尊敬できる相談相手であり続けている元刑事の五十嵐太一(佐野史郎)が、まさしく(第一話において)自身の罪を認め、逮捕されようとしていたとき違和感ある体臭を発していたことを、ワンコは思い出していた。そして今もまた五十嵐太一は自身の罪について語るとき、同じ変化を隠せなかった。ワンコはそれを「嘘の匂い」と見抜いたのだ。
五十嵐太一は犯人ではなかった。真犯人は他にいる。そして、第三話において述べられたように、警察は犯罪者を作り出すことができる以上、五十嵐太一を犯罪者に仕立て上げた者は警察の中にいるはずだ。
この陽気な物語が、ここに来て一気に凄みを帯びてきた。
ところで、ワンコが今回、取調室でシゲ刑事の仕事に立ち会うことになったのは、怪我の所為で現場へ出ることができなかったからだ。先週の第三話における脚の骨折が今週の話へ上手い具合に繋がり、「嘘の匂い」の発見をも惹き起こしたのが面白かった。
しかもコマ刑事こと小松原勇気(吹越満)の要請を受けてワンコも現場へ出動することになったとき、ワンコの「三年先輩」にあたるキリ巡査こと桐島竜太(手越祐也)がワンコを背負って足代わりにならなければならなかったのも第三話から繋がっている。背負われたワンコはキリ刑事の背中の心地よさのゆえか寝てしまっていて、怒ったキリ刑事がワンコを背から落として起こしたとき、ワンコは当たり前のように普通に両脚で立ち上がり、負傷の足が既に治っていたことが判明した。前回の話における非常事態を引き続き持ち込んで普段とは違った形で話を始めたのち、普段通りの展開へ戻すための契機を、このように上手い具合に描いているのが楽しい。